監督、脚本、製作クリストファー・ノーラン、主演レオナルド・ディカプリオで2010年に劇場公開されたインセプション
その他の出演者も渡辺謙、トム・ハーディ、ジェゼフ・ゴードン-レヴィット、マリオン・コティヤール、キリアン・マーフィー、マイケル・ケインなど、ノーランファミリー勢揃い音楽はもちろんハンス・ジマー、そこに異色の組み合わせジョニー・マー(ザ・スミスのギタリスト)がギターで参加していて、今までのハンスの音楽には無かった何とも言えないスパイスが加えられています
これもノーラン監督のセンスですね
劇中挿入歌にもこだわりが見られます
”Non, je ne regrette rien”
邦題”水に流して”
が重要なシーンで使われているのですが、この曲の歌い手であるエディット・ピアフの伝記映画の主演がコブのワイフ役で出演しているマリオン・コティヤールだったのです
そしてこの曲を再生速度変更のアプリで超スロースピードで再生してみてください
何とサントラの
Half Remembered DreamとDream Is Collapsingという曲に重なるんです
鳥肌が立ちますね!
さすがノーラン監督の構想20年作品です
私は好きな映画をテープが擦り切れるほど観る(表現が古いですね)タイプなのですが、文面から思い入れが伝わっているように、この映画は恐らく生涯で一番回数を観る事になりそうです
監督、主演、出演者、撮影、音楽がパーフェクトなのですから(現在、私の一番好きな監督がノーラン、俳優はディカプリオ、トム・ハーディなので)
いや、最も重要なファクターであるストーリーが秀逸なのも当然、繰り返し視聴している理由です
テーマはずばり潜在意識です
主人公のコブ(ディカプリオ)はターゲットの無意識・潜在意識に侵入し、情報を抜き取るプロのエクストラクター(引き出し人)日本人実業家サイトー(渡辺謙)から、競合会社の独占状態を阻止するために、後継者に会社を解体するようなアイデアを芽生えさせる植え付け(インセプション)をするという困難な依頼をされます
コブは権力のあるサイトーに自身の問題解決(当局に妻の殺人容疑を取り消させる)を報酬とする条件で請け負うことになります
そのミッションは設計した夢をターゲットに共有させ、つまり無意識下、潜在意識の領域でこちらの思惑通りのアイデアを植え付ける訳ですが、そのプロセスで様々な困難や障害に見舞われ、すんなりとは事が運びません
興味深いのは、侵入者のトラウマが想定外に夢に投影され、ミッションの邪魔をするのです
これは現実に我々の実生活でも起こっている事ではないのでしょうか?
いわゆる思考が現実化するという現象で、夢の中ではインスピレーションによって完成したものが突然現れます
その連続が夢の世界であり、思った事がそのまま起こりますが、目が覚めた状態の現実世界は顕在意識の領域で脳のほんの一部しか使われていないため、現実化に時間が掛かると考える事ができるのではないでしょうか?
もしかしたら、自分も誰かにインセプションされているのではないかという想像も湧いてきますね
映画に登場する夢の共有装置はフィクションなので、ジョセフ・マーフィー博士のようにターゲットが眠っている時に良い方向へ導くような言葉を耳元で囁くという行為は簡単なインセプションでは?
この映画を語り出すとメルマガが何本分かになりそうなので(笑)今号は、これくらいで終わります
最後に涙無しには観れないラストシーン
夢か現実かを判断するトーテム(コマ)を確認しないコブ
夢か現実かよりも、今の状況を現実として受け入れる事を選んだのです