今、一人の高校生バスケット選手が大きな注目を集めています。それは福岡第一高の現在高校3年生で2020年の春に卒業し、大学へ進学する河村勇輝選手です。
バスケットボールでは、2019年にアメリカプロバケットリーグNBAから1巡目指名を受けた八村塁選手が有名ですが、河村選手も八村選手に劣らない才能に恵まれた選手です。
2019年12月の全国高校バスケットボール選手権でダブルキャプテンの1人として2連覇に貢献。日本代表選手や元NBAに所属した日本のトッププロが活躍する日本のプロバスケットボールのBリーグ1部に高校生でありながら、大学へ進学するまでの3月末まで特別に認められてプロ選手とプレーできる特別指定選手として所属。
河村選手はバスケットボール選手としては小柄ですが、抜群のスピードと運動能力でトッププロたちに負けない活躍をしています。夢は日本代表のポイントガード(PG)というコート上で司令塔の役割を果たすポジションです。
河村選手の素晴らしさと、その能力をさらに高めている潜在能力について紹介します。
■河村勇輝選手のプロフィール
河村選手は、小学生の頃にバスケットを始め、中学卒業後に地元の山口県を離れて強豪の福岡第一高に進学。
昨年は2019年8月の全国高校総体優勝に続き12月の全国高校選手権では2連覇に貢献。チームを2冠に導いた高校バスケット界最大のスター選手であり、将来の日本チームを背負って立つ期待の選手です。身長は172cm、体重は63kgと、スポーツ選手としては普通で、むしろ小柄な体格です。
しかし、相手選手を圧倒する抜群のスピードと小柄ながら鍛え抜かれたフィジカル、そしてボールをパスする相手を見ないでも的確に投げられる華麗なノールックパスができる類まれな運動センスで、身長の差をカバーして圧倒的な得点力を持っているスーパー高校生です。
■河村選手と潜在意識
体格以外では高校生離れしたすばらしい身体能力と運動センスを持っている河村選手ですが、多くの超一流のスポーツ選手がそうであるように河村選手も自身の才能だけに頼るのではなく、その才能をさらに生かすために普通ではできなない、やらないような努力を小さい頃から積み重ねていいます。
また、夢を実現させたいという強い思い、挫折に負けない強い精神力を持っています。
小学4年生のときに参加した大会での悔しい敗戦をきっかけに、自分自身に1日500本のシューティング・ノルマを課し、夜でも練習してシュートでゴールを成功させる感覚を筋肉の一つひとつに、そして成功イメージを潜在意識に植え付けます。単調な練習を小学生でしかも自主的に自身に課す点で普通ではありません。
また、テレビやゲームなどに興味を示さずに、食事のときなどには意識して利き手ではない左手でハシを使うなどバスケットに生活の全てを費やしていたそうです。500本以上のシュート練習は高校生になっても続けています。
小学6年生になると監督から信頼をされてゲームコントロールを任せられるようになり、全国大会への出場権を獲得。
普通の小学生は、恐らく喜ぶだけでしょうが、河村選手は「日本一になるために、日本一の練習をしよう」と全国大会出発前の2日間で2000本のシュート練習を行い、見事に全国大会で決勝に進出します。
決勝では河村選手のバスケットカウントが決勝点となり、1点差で勝利するという劇的な幕切れでした。まさに練習はウソをつかない、練習の執念が優勝を呼び込んだといえます。このときの記憶は、河村選手の潜在意識に深く刻み込まれ、基礎練習を怠ってはいけないという気持ちにさせたに違いありません。
それが、他を圧倒する能力を発揮できるようになった現在でも単調なシュート練習を500本以上することを止めていないことにつながっていると考えられます。
なお、「バスケットカウント」とは、シュートしようとしているときに相手選手からファールを受けたにもかかわらずそのシュートが決まったことを意味する用語です。
さらに、シュートの得点に加えて相手選手のファールに対するフリースロー権が1本与えられます。全国大会の決勝戦、全筋肉が緊張で硬直するなか、このフリースローを決め、この1点が優勝につながったわけですから貴重な得点でした。
緊張の極みのような場面でも、大会前のシュート練習によって潜在意識に成功イメージができており、筋肉もまた成功イメージ通りに動いた結果、成功したと考えられます。
また、強い精神力は、高校生でありながらプロリーグに特別指定選手として挑むとき、「自信がなかったら挑戦はしなかったと思います。
ただそれは、B1で通用するということではありません。どんな壁にぶつかっても挑戦し続ける自信があります」と答えていることで分かります。
この精神力の強さも、これだけの厳しい練習を自身に課してきて、継続できているという経験と潜在意識に刻み込まれたその自信に裏打ちされているからでしょう。
「プロでも通用する自信はある」とは言えますが、「どんな壁にぶつかっても挑戦し続ける自信があります」はなかなか言える言葉でありません。
また、夢も日本のポイントガードになる、その先にアメリカNBAもあると考えている河村選手には、まだ通過点なのでしょう。これからの活躍が期待されます。