vol.79 引退を発表したイチロー選手と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

日本とアメリカのプロ野球で前人未到の数々の大記録を打ち立てたイチロー選手が2019年3月21日に28年間の選手生活からの引退を発表しました。

記録は破られるためにあるといわれますが、イチロー選手が残した記録のなかには、もしかしたら今後破られることのない可能性の高い偉大な記録が含まれています。
また、日本で9年、アメリカで19年の合計28年間の長きにわたる選手生活も特筆されます。総務省の「主要職種別平均年齢・勤続年数」のデータによると日本のプロ野球選手の平均は8.9年(2006年から2015年の10年間のデータ)です。地味な数字ですが、これもすごいことです。
野球に徹して節制を心がけて体の鍛錬を怠らなかった証拠です。

ところで、イチロー選手は、小さいときから自分の才能を確信し、才能におぼれて努力を怠ることもなく練習に打ち込み、そして小学生のときに描いた夢を実現させました。多くの有名なスポーツ選手は、将来実現させたい願望・夢を明確に描いて、それを潜在意識に強く刻みこんで願望・夢を実現させる大きな原動力として成功しています。

そこで潜在意識に願望・夢を強く具体的に持つことの重要性とともに、日本とアメリカで大きく異なる野球スタイルの環境でも適応して成功でできるために重要なことについて紹介します。後者は、野球という環境の違いだけではなく広く一般に通用する考え方です。

 

■潜在意識に届く願望・夢を持つことの重要性・メリット

私たちを取り巻く現在の時代は、閉塞した状況が長く続き、明日に希望が持てない時代であることから、生きることに「無気力」「無思想」「無関心」な人たちが増えています。このような時代には、特に願望・夢を潜在意識に届くほど強く持つことが重要です。主な重要性・メリットは次のとおりです。

1.夢を実現させるために向かって突き進んで生きていく原動力が生まれる
2.目的・目標ができるのでやらなければならないことが明確に分かってくる
3.迷う時間がなくなって無駄な時間を減らせて充実した毎日を過ごせる
4.充実した毎日を送れることから生き方に自信が持てる

以上の4つのことは、願望・夢を持つことで強い意志が生まれるからです。強い意志が生まれない「単になれたらうれしいという願望・夢」では効果がありません。
心の底から実現させたいと思う願望・夢でなければなりません。アメリカのスタンフォード大学の心理学者であるケリー・マグゴニガルは、著書で人間が持つ意志のパワーは3つあると述べています。

3つのパワーとは以下です。

・1つ目は、自分の願望・夢という目標に向かって突き進むことを実現できる「やるぞ!」というパワー。
・2つ目は、願望・夢の実現に不要な快楽や娯楽などの誘惑を切り捨てる「しないぞ!」というパワー。
・3つ目は、願望・夢を実現させるために必要な目標をはっきりさせて、こういう人間に「なるぞ!」というパワー。

イチロー選手は、私たちからは天才にしか見えませんが、過去に「自分でやること、やろうと決めたことに対しては、手抜きしないこと」と話しています。そして、「僕を天才と言う人がいますが、僕自身はそうは思いません。毎日血のにじむような練習を繰り返してきたから、いまの僕があると思っています。僕は天才ではありません」と述べています。

イチロー選手の記録は、「才能」+「強い意志(願望・夢)」+「努力」+「禁欲」で生まれたものです。小学生の遊び盛りの頃から、マンガやゲームの誘惑に打ち勝ってバッティング練習など地味な努力を重ねています。イチロー選手の才能を持ってしても、強い意志がなければ偉大な記録は残せなかったに違いありません。

 

■イチロー選手のもう1つのすごさ「捨てる勇気(適応する能力)」

イチロー選手は、日本のプロ野球では代名詞ともなっている「振り子打法」で数々の記録を残しました。その振り子打法は、プロに入団したとき、当時の監督などから変えるように指示されましたが、自分に合った打法として執着し、その指示に従っていません。

しかし、メジャーリーグに移籍後は、自分に合ったと思っている打法で、しかも多くの1位の記録を残した振り子打法をメジャーの野球に対応するために捨てています。
一般的には自分が固執し、それで成功した体験はよほどのことがない限り簡単には捨てられません。成功体験を捨てられずに失敗した事例は企業経営に多く見受けられます。

一方で、メジャーの野球はパワー中心でしたが、イチロー選手はパワーを強化する方向への対応をしていません。
イチロー選手が、アメリカでも自分に固執し、成功体験を否定しなければ、またアメリカのパワー野球に対応しようと考えたら成功できていなかったのではと思われます。

私たちを取り巻く環境は常に変化しています。強い意志で願望・夢を追い求めるときは環境の変化にも注意して、どうすれば願望・夢を実現できるかを見直すことが重要であることをイチロー選手は教えてくれます。
願望・夢の実現が思うように進まないときは、目的である願望・夢は変えないで、環境をよく見て願望・夢をかなえるための手段を変える発想を持つと実現に近づけることでしょう。

人生を好転させる潜在意識の活用法

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