vol.83京セラ創業者稲盛和夫と潜在意識(2)【人生を好転させる潜在意識の活用法】

前回に続いて京セラ創業者稲盛和夫の経営哲学と潜在意識について紹介します。

稲盛和夫氏は、大学卒業後、大企業ではなく経営状況が厳しいオーナー経営の中小企業に就職、決して恵まれた環境で社会人生活をスタートした訳ではありません。
同期入社の5名中、4名が早々に会社を見限って早々と退社していくような会社の状況であったにもかかわらず、1人会社に残り前向きに研究に没頭、研究者として成果を残します。しかし、上司に研究内容や研究を続けることを否定されたことから辞表をたたきつけます。

このとき稲盛氏は、まだ弱冠27歳、それまで経営に携わっていた訳でもありません。そのため経営者としての資質は回りの者から見て、十分にあるとはとても思われていなかったのではと推測されます。
しかし、稲盛氏が辞表を出したと聞いた部下は自分たちも会社を辞めて、付いていきますと言い出し、会社設立に動き出します。

経営者としての評価が不透明・不確実であっても、部下たちは信頼して付いていって、もし失敗であっても後悔しないという強い信頼感を持てたのでしょう。
稲盛氏には優れた経営者に必要なカリスマ性やリーダーシップがありました。もし、稲盛氏にリーダーとして人を魅了する資質がなければ、辞職は稲盛氏の1人相撲で終わっていた可能性があります。

こうして、稲盛氏は1959年に資本金300万円、わずか28人の社員で京都セラミック(現・京セラ)を設立し、研究者だけではなく経営者としてのスタートを切ることになります。ここからの体験が、稲盛氏に強く潜在意識の重要性を植え付けていきます。

 

■「稲盛経営12カ条」と潜在意識

期せずして経営者としてスタートすることになった稲盛氏ですが、1974年2月には東京証券取引所第1部に上場、2001年3月期にはグループの売上高が1兆円を突破と急成長を遂げます。この急成長の礎となったのは、厳しい環境下でのスタートであったと考えられます。
そして、このときの経験が経営者としての人生・考え方に大きく影響しています。稲盛氏は、自ら経営に携わるなかで体得した経営の原理原則を後年、「経営12カ条」としてまとめて発表しています。
そのなかの1つに稲盛氏は「強烈な願望を心に抱く―潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと―」として潜在意識の大切さをあげています。

稲盛氏は、「物事は心に描いたとおりに成就します。何としても目標を達成したいという願望をどれだけ強く持つことができるかが成功の鍵です。特に、潜在意識を駆使すれば、経営を大きく伸ばすことができます」と述べています。そして、経営者に必要な心構えとして次のように結んでいます。
「潜在意識を自在に活用するには、繰り返し強く思い続ける必要があります。自分が立てた経営目標を、朝起きてから寝るまで四六時中考える。そのように強く持続した願望は、その人の潜在意識に入り、自分をその方向へと自然に向かわせます。目標が難しく、高ければ高いほど、実現するためには強く持続した願望を抱き続ける必要があります。
ぜひ目標を高く掲げ、その実現に向け、強く持続した願望を持ち続けていただきたいと思います」

「稲盛経営12カ条」は、後進の経営者に経営の心構えを説くためのものであるため、経営を成功させるために必要なこととして潜在意識の重要性・活用を述べています。
しかし、当然ですが「経営」を「人生」「仕事」「恋愛」「受験」などに置き換えればすべてに潜在意識の重要性は当てはまります。

稲盛氏は、潜在意識の分かりやすい活用法や、「強烈な願望を心に抱く―潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと―」を実践したことで実際に自身が体験したことを具体的にあげて、潜在意識の大切さと効果を述べています。その内容については次回に詳しく紹介します。

 

人生を好転させる潜在意識の活用法

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