笑いが精神的にも肉体的にも良い効果を与えることは、前回の渋野日向子選手を話題にしたテーマで紹介しましたが、笑いの効果を遺伝子のレベルで研究している筑波大学名誉教授の村上和雄氏の研究内容と潜在意識の関係について紹介します。
村上氏は、世界の著名な研究機関が遺伝子の解読を競って研究していたとき、1983年の夏に世界に先駆けてヒト・レニン遺伝子の解読に成功し、その名を世界に知らしめた遺伝子研究の第一人者です。
■遺伝子とは?
遺伝子とは、一言で言うと「人間の体を作る設計図」に相当するものです。人間には約60兆個の細胞がありますが、そのなかに「核」があって、そのなかに両親から23本ずつ受け継いだ46本の染色体があります。さらに染色体のなかには、折りたたまれて、らせん構造をしたひも状のDNAがありこれが遺伝子の働きをしています。
遺伝子は、たんぱく質を作る指令役を果たしています。たんぱく質は、体にとって栄養を消化するための酵素だったり、体のさまざまな組織を作る材料となったりします。遺伝子が正常であれば体に必要なたんぱく質が作られますが、異常が生じると、必要なたんぱく質がうまく作られなくて、その結果病気につながっていくと考えられており、人間の体は遺伝子の指令に基づいて維持されています。
人間1人の「DNA」のすべてを長く引き延ばすと、地球を300万周に相当する約1200億キロにもなり、この遺伝子には人間が生まれてから死ぬまでの間のすべての情報が前もって書き込まれています。村上氏は、こんなに大量の情報がどこからどうして集まってきて、どのような仕組みでいったい誰が書き込んだのか?を考えると震えるような感動が体を貫いたと語っています。
■生命の神秘と遺伝子の謎
私たちは、意識して遺伝子に対して指令を出しているわけではありません。しかし、毎日生きていけるのは、勝手に心臓が動き、食べ物が消化され、新陳代謝が行われているからです。
それを実現させているのは、遺伝子が規則正しく指令を出しているからです。そうだとすれば、いったい誰がその遺伝子に指令を与えているのか?
村上氏は、「人間にはまだわからない『未知の何者か』が遺伝子をコントロールしているとしか思えません。例えて言えば神や仏と呼ぶ存在かもしれないし、大自然の摂理といったものかもしれません」と述べて、その存在を『サムシンググレート』と名づけました。
また、村上氏が大きな関心を寄せたのが、人間の遺伝子の多くは眠っているが、それがいろいろな刺激でスイッチをオンにできるのではないかということです。もし、良い遺伝子のスイッチを意図的にオンにできれば、私たちの可能性は飛躍的に向上することになります。
村上氏は、40年近い研究生活の結論として「人の思いが遺伝子の働き(オン・オフ)を変えることができる」と確信し、眠っている良い遺伝子をオンにできるのは、「感動、喜び、笑い」などによっていきいきワクワクすることであると述べています。
これが、科学的に証明できれば、心と体の関係が遺伝子のオンとオフによって説明できる突破口が開けるとして、「心と遺伝子研究会」を立ち上げ、お笑いの吉本興業の協力を得て糖尿病の患者21人を被験者にして大学で公開実験を行っています。
結果は、21人の血糖値が大きく下がったことから、「笑い」が糖尿病患者らの遺伝子に何らかの作用をして良いスイッチが入って血糖値が下がった可能性があるということまでが判明しています。
■ワクワクすることは潜在意識の活用にも効果的
村上氏は、良い遺伝子をオンにできるのは、「感動、喜び、笑い」などによってワクワクすることであると述べていますが、ワクワクすることは、潜在意識の活用にも効果的です。
例えば、ダイエットを成功させるときなどに、ダイエットに成功したときの自分をイメージしてワクワクできると、そこにはダイエットを成功できるかどうかという不安や疑問の感情が消えているのでダイエットの実現が容易です。
ことわざに「病は気から」がありますが、「くよくよしないで、良い方向へいくとポジティブに考える」「解決に向けて懸命に取り組む」という行動をしている人は、医学的にも症状が良くなる方向にいくことが分かっています。
潜在意識の活用を日々行うことで、夢や希望を実現でき、精神的・肉体的にも健康な体を手に入れることが期待できます。