vol.75 2019年度グラミー賞受賞曲「This is America」と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

2019年度のグラミー賞でチャイルディッシュ・ガンビーノのラップ曲の「This is America」が最優秀レコード賞と楽曲賞をダブル受賞。

ラップの同賞の受賞は史上初めてという歴史的な快挙でした。それ以上に、この曲は2018年5月5日に動画(MV)が公開されてからわずか約1週間で再生回数は1億回をこえる大きな反響を呼びました。

その理由は、この曲のMVに現在のアメリカが抱えるさまざまな社会的な問題「銃規制」「人種差別」「白人優越主義」などに関連して起きた過去の凄惨な事件を想起させるメッセージ性の強い内容として描かれていたからです。
「This is America」とアメリカの抱える問題と潜在意識について考えてみたいと思います。

 

■アメリカの矛盾と良心

アメリカは、自由と平等の国と言われますが、その一方で「人種差別」「白人優越主義」が、まだ根強くはびこっています。また、銃による悲劇的な事件が多数繰り返され、そのたびに銃規制の声が高まりますが、いまだに銃規制の強化は実現されていません。

自由と平等をうたいながら差別があり、犠牲者が多く生まれながら銃で身を守るのも、また自由として銃規制ができないアメリカは、矛盾に満ちています。
そんな矛盾を抱えたアメリカをチャイルディッシュ・ガンビーノの「This is America」は、実際に起きた事件をモチーフにした刺激的な映像シーンとともに、銃による暴力や人種差別がはびこる現状、そしてそこから目を背ける風潮に対して「これがアメリカなんだ」だと主張します。

そして、驚くのはこのような見る人によってつらすぎる内容のMVが大反響を呼ぶことです。日本とアメリカでは社会的な背景が異なることから、同一に論じるのは難しいですが、例えば日本で問題となっている「いじめ」や「無差別殺人」などをテーマに、過去の凄惨な事件をモチーフにしたMVが生まれたとしたら、アメリカのような反応になるのだろうかと疑問に思えます。

日本ではこのようなMVは、非難を浴びて注目されたとしても再生回数は大きく伸びないと思われます。日本人は、臭いものには蓋の感覚で直視するのを避ける傾向が強いからのです。

しかし、アメリカでは非難も起きず、再生回数が伸びて、権威ある賞を受賞するのはアメリカの良心なのではと考えます。なぜなら、現実は現実として起きたことには目を背けずに、これが現実なのだと強く認識しなければ、現状の改善への第一歩とならないからです。

「This is America」は、過去の凄惨事件などを実に周到な仕掛けで映像化、多くのアメリカ人の潜在意識にある記憶を直接的に、間接的に刺激するように考えて作られた優れた作品です。そこが、単なる刺激だけを狙った作品でないとして高く評価されて受賞に至っています。

 

■消し去ってはいけない潜在意識と消さねばならない潜在意識

ところで、忘れたい嫌な記憶は、潜在意識の深いところにあってなかなか消えません。社会的な問題として消し去ってはいなけない記憶、風化させてはいけない記憶もありますが、一方で個人の生活に関係する悪い記憶は、いつまでもトラウマとして引きずることは好ましくありません。

そして、消し去りたいと強く思う悪い記憶ほど、その記憶は逆に強く、深く記憶に刻み込まれます。なぜなら「忘れたいと思うことは、嫌な記憶があるということを脳内で再確認している」からです。

そして、記憶が強くなれば脳はそのことを重要なことだと勘違いしていきます。すると、脳は嫌なことを現実として受け止め、それに従った行動をするようになっていき、過去の嫌な記憶に引きずられて未来がその影響を受けます。

嫌な記憶を消し去る最も効果的な方法は、とにかくポジティブに自分を肯定することです。映画やMVは現実に起きていることではなく単なる光と音の集まりです。興味のない人にとっては意味のない映像であり、雑音でしかありません。

しかし、よくできた映画やMVをみることで脳は現実と勘違いし、感情移入をし、ときには恐怖に震えたり、手に汗が出るほど興奮したりします。それは脳が現実ではないものを現実として認識するからです。つまり、自分をポジティブに強く肯定して、それを現実と思い込めばそれを現実と脳は認識します。

どんなに深い潜在意識にある嫌な記憶もそれをポジティブなものに書き換えられます。すると以下の有名な連鎖が起きて人生を変えられます。過去は変えられないけれど、未来は変えられるのです。

心が変われば態度が変わる
態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる

 

 

人生を好転させる潜在意識の活用法

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