「7つの習慣」は原著の初版が1989年に出版され全世界で3,000万部、日本で230万部も売れたといわれ、今もなお売れ続けている自己啓発に関するベストセラー書籍です。
プレジデント誌、タイム誌、チーフエグゼクティブマガジン、フォーブス誌などの名だたるビジネス誌が影響力のある書籍として認めています。
「7つの習慣」には、個人・家庭・会社など人生のすべてにおいて成功するための原則が7つの習慣として解説されています。
潜在意識と組み合わせて活用することで夢や願望を確実に実現して成功をつかみ取れます。そこで7つの習慣と潜在意識の関係について解説します。
■7つの習慣の簡単な解説
「7つの習慣」とは以下の7つです。
1.主体的であれ(Be proactive)
2.目的を持って終わりを思い描いてから始めよ(Begin with the end in mind)
3.最重要事項を優先せよ(Put first things first)
4.Win-Winを考えろ(Think win/win)
5.まず理解しなさい、そうしたら理解される(Seek first to understand, then to be understood)
6.相乗効果を創り出して発揮せよ(Synergize)
7.日々自分を鍛え切れ味を増すように刃をとげ(Sharpen the saw)
■7つの習慣を行う前に重要なこと
著者のコヴィー氏は、7つの習慣を行う前に重要なこととして、「あなたの周囲の問題は、あなたが問題だと思っているから問題なのだ」という真実を知ることだと述べています。
なぜなら、誰かを判断するとき、相手があなたから見て問題だ、間違っていると思うのは、あなたの価値観で見ているから、あるいは自分に都合によいように物事を見るから瞬間的に相手に問題がある、間違っていると判断します。
しかし、後でいろいろ話を聞くと最初の判断が誤っていたことが過去に経験したことがないでしょうか。
もし、気付けないと誤解したままです。また、このような見方しかできないと、実現ができなかった理由を相手や環境のせいにして自分が何もしなければ、また何も変わらなければ、いつまでたっても夢や願望を実現することも人生での成功もできません。
コヴィー氏は、物の見方を変えて自分が変わらなければ周囲の物事も変わらないので、問題はいつも自分のなかにあるという考えをする「インサイド・アウト」が必要といいます。
「インサイド・アウト」とは、内から外に向かって変化していくアプローチ方法です。
「業績が悪いのは景気が悪いから」「商品が売れないのは開発力(営業力)がない開発部(営業部)の原因」「仲良くできないのはあいつの性格が悪いから」などと、うまくいかない理由を環境や他人のせいにします。
このようなときに自分を見つめ直して外にアプローチしていく考えを持つことが「インサイド・アウト」です。
もちろん、逆の「アウトサイド・イン」のアプローチをすることもケースバイケースで必要です。
■真の成功は人格を育てることから始まる
コヴィーは、例えばとして「樹木を育てるとき、枝葉の形を整えれば一時的に見栄えはよくなる。
しかし、長続きはしない。格好だけの枝葉は、強い風や気温の変化に負ける。本当にいつまでも見事な樹木を育てるには、根や幹を強くすることが重要だ。根や幹は、人間でいえば人格だ。人格主義の発想に基づいて自分を変えることが本当の意味での成功と幸せを呼ぶのだ」。
そして「7つの習慣の実行で人格が高められる。そのためには行動を習慣として身に付けること。習慣として身に付けるには、次の3要素が必要」といいます。
1.なぜ必要か、何をするかという「知識」
2.どのようにするかという「スキル」
3.習慣にしたいという「意欲」
確かに、成功者は人間的な魅力にあふれてたくさんの人を魅了します。
人格に優れていない成功者もいますが、樹木の例と同じように長続きしていないことは歴史が証明しています。
■潜在意識を「7つの習慣」に生かす
夢や願望を実現し人生で成功するためには潜在意識を活用しながら、「7つの習慣」を実行すると効果的です。
1.「主体的であれ」と潜在意識
コヴィー氏は、第1の習慣として「主体的であれ」をあげています。「主体的」とは、「人間として自分の人生に対する責任をとること。自分の人生の主役は自分であり、どんな人生にするかを決めるのは自分以外の誰でもないということ」といいます。
「他人や環境のせいにしない生き方をしろ!」ということです。
私たちは、日常他人から批判されたり、嫌なことをいわれたりします。
聖人君子でないかぎり気分を害することは避けられません。コヴィー氏は、それは仕方がないとしながらも無駄に反応するだけになるな、また反射的に反応するなと戒めます。
嫌なことを冷静に自覚してから、自分の行動を選択してできるようになれ、そうすれば、環境や人のせいにすることなく、自分の性格や行動を相手に合わせて自分だけでなく相手も変えられるといいます。
人間ですから、これは簡単にできません。だからこそ習慣にしなければならないとコヴィー氏は最初にあげているのかもしれません。
これをできるようにするには、潜在意識にできるように常に思い込むことで可能にできます。
2.「目的を持って終わりを思い描いてから始めよ」と潜在意識
コヴィー氏は、第2の習慣として「目的を持って、終わりを思い描いてから始めよ」と述べて、この意味は、「知的創造をすることだ」と説明。
例えとして、家を建てるときは、まず設計図を作る(知的創造)があり、その後、実際に工事が行われる(物的創造)のように「すべてのものは2度作られる」といいます。
人生も同じで人生の方向性をイメージ(知的創造)し、毎日を生きる(物的創造という2つの創造で作られますが、自分の人生を他人に決められて最後に後悔することのないようにしなければなりません。
そのためには、人間が持つ「自覚」「想像力」「良心」を駆使して、自分の可能性から将来を想像し、良心に基づいて自分の奥底にある価値観をベースにした人生の脚本を作れとコヴイーはいいます。
余談ですが、最近話題の日本大学アメリカンフットボールの問題も、実行した選手に「主体的であれ」と「目的を持って終わりを思い描いてから始めよ」ができていれば、極限のところで思いとどまれたかもしれません。
ただ、少なくとも1人で会見して自分の意見を一切他人のせいにしないで主張できたことは、他の多くの他人のせいにして自己保身を図る指導者よりもはるかに立派でした。
なお、オリンピックに出られる、メジャーリーグで活躍できる、歌手になれる、あるいは経営者になれる能力があると思えば、それを最終目的として成功したイメージを潜在意識に持つことは習慣として生かすために重要です。
ここがブレると不本意で不満足感が残る途中下車(あきらめること)をしなければなりません。
目的が重要なことは、目的と手段がよく逆転したり混同したりするからです。
例えば、日本の政治を変えたいと思って政治家を志しても、そのためには選挙に勝つ必要があります。
その結果、選挙運動に勝つことだけが目的になって、最初の信念を曲げるようなパターンです。
このことは意外にさまざまな分野でたくさん起きています。
なお、「○○になりたい、したい」も目的というよりも手段であることに注意が必要です。○○になって何をしたいかが目的にならなければなりません。
3.「7つの習慣の実行」を邪魔する自己防衛本能と潜在意識
人間には、弱い立場であった原始時代から生き延びるために危険を避ける自己防衛本能、変化を嫌う本能が備わっています。
自分にとって嫌な、不安な、つらいなどで受け入れたくない状況や危険と思われる状況などのときに不安、恐怖、危険を無意識的に軽減、回避しようとする本能です。
不安、恐怖、危険以外にも、仕事が順調にいかないときややらねばならないことが苦痛なとき他人や環境のせいにして逃げ道を作ること。
および、自分に対して敵対する人、批判する人に対して壁を作って避けたりすることも含まれます。
「7つの習慣」や夢や願望、成功を実現するためにしなければならないことを、常にできるほど意志の強固な人は多くいません。それは、この本能的に回避したい本能が働くためです。
一方、脳神経外科医の林成之教授(日本大学)によると脳には以下の「7つの本能」があるといいます。
1.生きたい
2.知りたい
3.仲間になりたい
4.自分を守りたい(自己保存)
5.自分で何かをやりとげたい(自我)
6.バランスを取りたい(統一・一貫性)
7.違いを認めてともに生きたい
そして、有名なマズローの欲求の5段階(7段階)やヒルガードの7段階の階層図があります。
それによると、下位レベルの欲求が一定程度以上の満足ができないと上位の欲求が生まれません。
欲求には下位レベルから以下があります。
1.生理的欲求
2.安全の欲求
3.所属と愛情の欲求
4.承認・評価される欲求
5.認知・知的な欲求
6.調和、秩序、美への欲求
7.自己実現の欲求
自己防衛本能に対して脳は積極的に行動したいという7つの本能を持っています。
それゆえ、人類は知恵を獲得し進化を遂げてきたと推測できます。
この本能を生かし、そしてマズローの欲求の段階説には反するかもしれませんが、現代においては最上位の自己実現欲求を強く持つことが人間の行動力の源泉になる7つの本能をとぎすまして強力にします。
そのために夢や願望、そして成功イメージを潜在意識に強く刻み込ませることです。
まとめると、人間が持つ実現願望欲求と潜在意識と脳の7つの本能を生かして、「7つの習慣」を習慣になるようにできると夢や願望が現実になって成功できるということです。