今日は元当協会、会長の山田の潜在意識との出会いと活用事例をご紹介します。
以下、山田の回想です。
こんにちは、国際メンタルイノベーション協会会長の山田です。
私と潜在意識の出会いは、今から35年ほど前のことになります。
私に潜在意識の偉大な力について教えてくれたのは、当時京セラの社長だった、稲盛和夫さんでした。
1980年から20年近く、私は京セラの社員として商品開発から営業まで、さまざなま仕事に当たっていました。
京セラには、当時から「稲盛(和夫)経営12カ条(以下、稲盛12カ条)」というものがありました。
「稲盛経営12カ条」には
「強烈な願望を心に抱く。
潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと」
という言葉が掲げられています。
しかし、その時はまだその深い意味はわからないまま、ときどき心に思い浮かべては、
繰り返していただけでした。
京セラで、セラミック製品の開発営業を担当していた私にある日、
「セラミックで包丁を作ってほしい」
という案件が託されました。依頼主は大手の寿司チェーン。
その寿司チェーンでは本部で資材のいっさいを仕入れ、各店に配送していましたが、鉄製包丁はすぐに錆びてしまい、傷みが早いことに音をあげ、何とか錆びないセラミックで包丁を作れないかということになったのです。
寿司飯には酢が使われますね。鉄製包丁は、この酢に弱かったのです。
セラミックはいってみれば、ガラスや陶器と同じです。
これで包丁を作れというのはセラミックの特性上、無理難題に近い課題でした。
「どうせ、無理に決まっている」
と思いながら、
それでも懸命にセラミック製包丁の試作品を次々と作っていたのですが、
切れ味はよくても、すぐに刃先が欠けてしまうという難点をどうしてもクリアできません。
切れ味がいいようにと刃先部分を薄くすればセラミックですから、カキンと欠けてしまうのです。
何度、試行錯誤しても、この刃欠けはクリアできません。
そんなある日、開発会議でセラミック製包丁の経緯を報告することになりました。
セラミックで包丁を作るなんて土台、無理な話なのだ。
そう思っていた私はただ淡々と発表し、課題をクリアできないことも、
「自分は悪くない」とさえ思って、平気な顔をしていました。
ところが、稲盛さんが私のところにやってこられて、
「お前が悪い!」
と一喝するじゃないですか。
そのうえ、もちろん軽くですが、ゴーンと拳固も食らいました。
「お前が、セラミックで包丁ができると思わないから、できないんだ」というのです。
さらに、稲盛さんは言葉を続けます。
「まず、セラミックで包丁ができた場面を思い浮かべ、その様子を繰り返しイメージするんだ。
そのうちに、頭の中の映像がモノクロからカラーになっていくはずだ。
カラーになってその映像が動き始めたら、包丁は絶対にできる!」
そういわれても、私は半信半疑で、
「そんなものかなあ」と思っただけでした。
しかし、セラミック製包丁ができなければ、ビジネスマンとしては失格の烙印を押され、それで終わりです。
そこで私は、ためしに稲盛さんの言葉どおりにしてみようと思ったのです。
といっても、はじめは頭の中で映像化することは、簡単にできるものではありませんでした。
それでも繰り返し繰り返しやっているうちに、しだいにできあがったセラミック製包丁のイメージが浮かぶようになってきました。
さらにイメージを描き続けていると、ついにモノクロだった映像が、カラーになってきたではありませんか。
そして、カラーになったのとほとんど同じころ、工場から電話が入ったのです。
「おい、山田、ええのができたぜ」
電話は、ジルコニアという薄く延ばしても刃が欠けづらい、専門的にいえば、
靭性に優れた素材の開発に成功したことを知らせるものでした。
この新素材を使って、ほどなくセラミックの包丁が完成し、いまでは一般家庭でもよく使われるヒット商品になったのです。
このように、かいつまんでお話しすると、何でもないことのように聞こえるかもしれません。
でも当時は、
セラミックで包丁を作るなんて奇跡!
といわれたものです。
私自身も、無理難題だと思えた課題が実現したことに、ただ驚くばかりでした。
同時に、「思いの強い力とイメージング力」
にも驚きました。
稲盛さんにいわれたとおり、まず
「セラミック製包丁はできる!」と思い込んだこと。
さらにセラミック製包丁ができあがったところを頭に描き、実際にセラミック製包丁が使われているところを動画で思い浮かべる。
何度も何度も繰り返し、思い描いているうちに、ついにはその映像が現実であるかのように動き出す。
すると、その映像どおりの現実が実現したのです。
「思いの力とイメージング力」のすごさに気づくと、私は改めて京セラの信条でもある「稲盛経営12カ条」をかみしめてみました。
そして、「稲盛経営12カ条」にある言葉、
「強烈な願望を心に抱く。潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと」
は、京セラの強みであり、稲盛さんの偉大な成功の原点でもあるのだと強く確信できるようになったのです。
それから私は潜在意識に関する本を手当たりしだいに読み、読んだことは必ず行動に移していきました。
すると思ったこと、願ったことが本当に実現するのです。これには目を見張りました。
その後、私は京セラのソーラーエネルギー事業部に移り、さらにソーラー事業拡大のための販売会社・京セラソーラーコーポレーション設立のプロジエクトメンバーになりました。
この会社のFC加盟店を対象に、思いの力と潜在意識をビジネスに活用する
「メンタルイノベーションセミナー」を実施したところ、FC店は飛躍的に売上を伸ばし、
京セラのソーラーエネルギー事業は、一躍、業界のトップに躍り出たのです。
もちろん、京セラの商品力や時代背景も加担してのことだったでしょう。それでもセミナーの評判も高く、
「あのセミナーに参加すると必ず成績が上がる。不思議なセミナーだ」
と話題になったのも事実です。
こうした経験を積み重ねていくうちに、私は潜在意識を活用して生きることは人として生まれた者、すべての人に託された使命なのだと強く思うようになっていったのです。
潜在意識を使いこなして生きていけば、人は誰でも自分の思いどおり、最高の人生を実現できます。
それも苦労なく。むしろ、生きがいや幸福感に満たされながら。
世の中は厳しさを増す一方です。
そんな時代ならばなおのこと潜在意識を活用しなければなりません。
一人でも多くの方に潜在意識を活用して幸せになってほしい。
そのために私は、誰にでも潜在意識があること、それを活用すれば幸せになれることをお話ししていこうと決意し、京セラを退社すると、「メンタルイノベーションセミナー」を全国的に展開していきました。
今ではソニー生命、大和証券、武田薬品グループ、大塚製薬グループ、三菱電機グループなどの企業や地方自治体などに講演や指導を行うようになっています。