多くの人は、重要な場面でプレッシャーに負けてふだんの実力を出せずに失敗をした経験を1,2度は持っているのではないのでしょうか?
スポーツ選手に限らずプレッシャーに打ち勝って自分の実力を100%発揮できるようにすることは、人生で成功するために必要なことです。
そこで、平昌オリンピック関連話題の第3弾として、カーリング娘の名言と競技中の言動からプレッシャーに打ち勝つ方法について考えてみたいと思います。
■カーリング娘がプレッシャーに負けなかった理由
平昌オリンピックの女子カーリング競技でLS北見の選手(カーリング娘)たちが、カーリング競技で初の銅メダルを獲得しました。
銅メダルの価値以上にカーリング娘たちが競技中に交わした会話の「そだねー」や競技の合間に設けられている休憩時間のおやつタイムが話題になったことはよく知られています。
しかし、このことが銅メダルを獲得できた理由の1つであったことはあまり注目されていないようです。
■カーリング娘の名言「五輪には魔物がいると言われるが私にはいなかった」
オリンピックは、スポーツをする選手にとっては最高峰の舞台で、なおかつ国の威信や国民の期待を背負い、さらに4年間という長い時間を掛けた努力の成果を出しきらなければならない場所です。
そのためオリンピックに出られるほどの才能を持ち、そのうえに練習に練習を重ねた超一流選手でもオリンピックという大きな舞台ではプレッシャーに押されてその実力を発揮できずに終わることがあります。
しかし、カーリング娘たちが競技中に交わす方言まじりのゆるい雰囲気の会話や「もぐもぐタイム」として注目された休憩時間の雰囲気からは、オリンピックという真剣勝負の世界でプレッシャーを感じて競技をしているようには見えませんでした。
その様子は、緊張して競技に打ち込んでいるというよりは、まるでピクニックに来てカーリングを楽しんでいるようでした。
事実、カーリング娘の1人吉田夕梨花選手は「五輪には魔物がいると言われるが、私にはいなかった」という名言を残しています。
言葉で明言したのは吉田夕梨花選手ですが、競技中の笑顔や会話、もぐもぐタイムの雰囲気から他の選手の気持ちも同様であったと思われます。
■プレッシャーに負けるのは「努力逆転の法則」が働くから
カーリング娘のようにプレッシャーを感じずにふだんの実力を発揮できると、スポーツだけでなく入試や面接、あるいは重要な場面での人前でのプレゼンテーションなどで実力を出しきれずに失敗することを避けられます。
しかし、人間は潜在意識のどこかに失敗するかもしれないという恐れや、失敗したらどうしようという不安な気持ちがインプットされ記憶されているからプレッシャーを感じます。
そこで、この潜在意識に負けないようにするために「プレッシャーに負けないぞ」と一般的には心のなかで強くとなえます。
不安が強いほど何度も強くとなえますが、実はこの行為はまったくの逆効果です。強くとなえればとなえるほど、また回数が多ければ多いほど心理学で「努力逆転の法則」と呼ばれる法則が働いてプレッシャーに押しつぶされます。その結果、実力を発揮できません。
■努力逆転の法則とは?
「努力逆転の法則」とは、努力すればするほど、反対の結果になるという法則のことです。
つまり努力してプレッシャーに勝ちたいという意志を強く持つほど、潜在意識のなかにある失敗イメージを強く想像してプレッシャーに押しつぶされてしまうのです。
その理由は、以下のとおりとされています(自己暗示法の創始者であるフランス人のエミール・クーエの著書より)。
1.意志力はイメージ(想像力)に負ける
「意志力」と「イメージ(想像力)」が逆のとき、意志の力で負のイメージを取り払おうと強く思っても負のイメージ(想像力)のほうが強いのでプレッシャーが残る。
2.意志の力を強く持てば持つほど負のイメージが強くなる
意志とイメージが逆のとき、意志の力でなんとかしようとすればするほど負のイメージが強くなる。負のイメージが強くなる度合いは意志の2乗に比例して大きくなっていく。
■誰もがプレッシャーに勝てる方法とは
では、プレッシャーに打ち勝つには具体的にどうすればよいのでしょうか?
それは、プレッシャーに負けないという「意志」を強く持つのではなく、やった結果として自分が望むことや成功した結果を「イメージ」することです。
スポーツ選手はイメージトレーニングを行いますが、イメージトレーニングをすると運動しているときと同じように脳と筋肉が反応していることが分かっています。実は脳は現実とイメージ(想像)を完全に区別できていません。
梅干しやレモンを食べることを想像すると、実際に食べていないのに唾液が出てくることからも分かります。イメージを強く持てると、脳が勝手にイメージを現実として受け入れ、イメージしたとおりにできるようになります。
■成功イメージを強く持てるようになる方法
カーリング娘たちも同じようにプレッシャーに負けないイメージトレーニングをしたと思われます。
それに加えてカーリング娘たちは、それぞれが挫折の経験を持っていたこともイメージトレーニングによい結果を与えたと推測できます。
カーリング娘の1人は別のチームに所属してオリンピック選考会で負けた挫折を経験し、また別の1人は所属チームから戦力外通告を受けています。
そのような状況でLS北見チームに誘われて選手としてまたカーリングをできる喜びがあったため、プレッシャーよりもカーリングをできる喜びが強かったと思われます。
そして、そのことがイメージトレーニングの成果を強くしたと思われます。
なぜなら嫌なことについては、よいイメージを強く持つことが難しいからです。
このことからプレッシャーに負けないためには、自分が楽しいことや望むことをやった結果としての成功イメージを強く潜在意識に持つことが重要です。
決して、プレッシャーには負けないという意志を強く持つことを避けてください。
そうすれば、プレッシャーに負けて実力を出せないということをなくせるでしょう。