vol.139 2022年の日本ダービーを制した武豊騎手の傑出した記録と潜在意識の関係【人生を好転させる潜在意識の活用法】

武豊騎手が2022年5月に開催された第89回日本ダービーを3番人気の「ドウデュース」に騎乗し、見事に勝利しました。日本ダービーを制覇したのは6回目です。過去に日本ダービーで複数回勝利した騎手は、3回の福永洋一騎手を除くと2回が最高です。武騎手の6回は群を抜いており、今後、この記録をこえる騎手は現れないのではないかとも思える前人未到の記録です。日本競馬界のレジェンドが、競馬の祭典日本ダービーで自身の持つ最多勝記録を更新。さらに、史上初の50代でのダービー勝利騎手になったこともあって、ウイニングラン後にスタンド前まで戻ると東京競馬場を埋めた約6万人の観客から拍手とともに大きな「ユタカコール」が巻き起こりました。

 

日本ダービーは2022年で89回の歴史がありますが、武騎手がデビューしたのは日本ダービー第54回が開催された1987年です。天才的な騎乗技術を持つ武騎手は、デビュー約10年後の第65回(1998年)の日本ダービーで「スペシャルウィーク」に騎乗し、早くも勝利しました。武騎手には、その他にも史上初や前人未到の記録が多くあります。「2003年の年間200勝」「3年連続の200勝以上」「デビューした1987年から36年連続重賞勝利(現在も継続中)」「最速での年間100勝」「169週連続勝利」「2021年JRA通算4300勝」などです。

 

武騎手がこのような卓越した記録をいまも残し続けられているのは、類まれな優れた乗馬技術によるものであることは間違いありません。しかし、競馬は騎乗技術がいくら優れていても、馬の能力、コンディション、走る意欲などがかみ合わないと勝てません。特に馬は車やバイクのようなマシンではなく生きている動物で感情を持っています。コンディションも日によって変わるため、馬が気分よく最高のパフォーマンスを発揮できるように馬の気持ちがわかって、よく言われる「人馬一体」になることが必要です。第三者から見れば、武騎手は馬の能力を最大限に引き出して「人馬一体」になれています。

 

このことに関して武騎手は、人と馬は会話ができないから人には馬と心を通わせる努力が必要という意味で「人馬一体」ではなく「人馬二体」という言葉を使っています。つまり、「人馬一体」といえる騎乗ができるようになるには、馬と心を通わせる努力が必要であることを述べています。人馬の思いがずれていたり、ましてやお互いの気持ちを無視していたりしては好結果が望めない競馬で、努力を心がけることで優れた結果を残しています。武騎手と馬の気持ちが通じた結果が、好結果を生んだエピソードとして、武騎手が名馬「オグリキャップ」にかけた言葉があります。

 

それは、「オグリキャップ」の引退レース前に語りかけた言葉です。「オグリキャップ」は、地方競馬でデビューし、その後、中央競馬へ移籍。「芦毛の怪物」と呼ばれてGIレース4勝を含め重賞12勝。年度再優勝馬や年度代表馬に選ばれた人気と実力を兼ね備えた名馬です。しかし、引退する1990年の秋の天皇賞で6着、ジャパンカップで11着と惨敗。そこで、よく騎乗していた武騎手は、引退レースである1990年の年末に行われる有馬記念のレース前に、「しっかりせえ。お前、自分を誰やと思っとんねん。オグリキャップやで。」と語ったと言われています。この言葉に「オグリキャップ」が反応したのか、名だたる強豪馬が出走する引退レースの有馬記念に勝利します。それは、惨敗が続き、強かった過去の栄光が失われつつあったのは、まるで嘘であったかような爆走でした。「人馬二体」と考えて心を通わせる努力を大切にしている武騎手の気持ちが、「オグリキャップ」の潜在意識の琴線に触れた結果だと考えられます。

 

かけた言葉の文字数は非常に短いのですが、武騎手の思いは強くて、多くて、熱がこもっていて、さらに常に前向きでポジティブな思考の武騎手だからこそ、そのポジティブな潜在意識は、言葉を理解できない馬にも強く響いたのでしょう。ポジティブな思考を潜在意識に持つことは他人や動物にも好影響を与え、その好結果を自分自身に跳ね返させられるのです。

人生を好転させる潜在意識の活用法

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