韓国の7人組男性ヒップホップグループ「BTS」はK-POPの枠をこえて世界で活躍するアイドルグループです。「Dynamite(ダイナマイト)」などの歌・ダンスで注目を集めていますが、韓国大統領から「未来世代と文化のための大統領特使」に任命され、若い世代の代弁者として国連で3度もスピーチをし、世界の若者に強い影響力を持っています。 グループの特徴はシンクロ率の高い一糸乱れぬキレ味が抜群の圧巻のダンスパフォーマンスです。一糸乱れぬパフォーマンスは、一人ひとりがリズムに合わせて頭から足の先までスピード、角度、タイミングなど全身の動きを一致させないと生まれません。非常に早くて複雑な動きを個人がマスターすることは練習で可能ですが、マスターした動きを7人のすべてが完全にシンクロさせるのは、個々人の動きの細かな癖やタイミングのとり方が異なることから至難の業です。 シンクロが有名なスポーツには「アーティスティックスイミング(旧名称:シンクロナイズドスイミング)」や新体操の団体演技、あるいは芸樹ではバレエの群舞などがあります。 いずれも個人の能力が高くても団体として動きがシンクロできていないとまったく評価されません。そのようななかで、国内で有名なバレエ団の1つ東京バレエ団で群舞を指導する佐野志織さんが、自身の経験を踏まえて「舞台上でふと皆が一つになっていると感じる瞬間がよくある」、その結果、「20数人くらいで踊っていても、まるで一人で踊っているかのように感じる」と言っています。 技術的な鍛錬のみでは生まれないメンバー全体の意思が1つになることでシンクロ率が一段と強まって、そのような感覚が生まれているのではと思われます。
集団行動として有名な日本体育大学の一糸乱れぬ集団行動のパフォーマンスは、テレビなどでよく放送されています。それを見ると見事で圧倒されるほど驚嘆します。しかし、そのパフォーマンスは共産主義国家の軍事パレードに見る機械的で感情のない集団一致の行進に似て、心を揺さぶれるような感動はあまり生まれてきません。 一糸乱れぬパフォーマンスであっても感動が生まれるのは、ダンスに感情が入っているからではないかと思われます。先のバレエ団の佐野志織さんも場面ごとにシチュエーションが異なり、その場面にあった感情・意思の違いが加わっていることが必要だと言っています。 「BTS」メンバー7人のダンスのシンクロ率が見事で多くの若者に訴求する理由は、頭で考えてダンスするのではなく顕在意識で考えなくてもダンスできるように練習を重ねて潜在意識に刷り込んでいることが1つ。 そしてもう1つは推測ですが、7人が常に曲・ダンスに対する共通の思いを抱いてダンスをすることで単に機械的にシンクロしているだけではないため、それが見る者に訴えるからと考えられます。 「BTS」のメンバー7人が曲・ダンスに対して生まれてくる共通の思いは、恐らく長くメンバーとして活動するなかで、意見や考えの違いをぶつけ合って個々人をこえた1つの人格が形成され、その人格がメンバー全員の潜在意識に刷り込まれているのではないでしょうか? これによって、見る者を圧倒するパフォーマンスが生まれていると考えられます。
チーム力を発揮しなければならないような仕事、スポーツなどにおいてはこのようなチームとしての1つの意識を潜在意識に持たせると大きな効果を発揮できます。 この場合、競合や敵対する相手組織やチームよりも個々人の能力で劣っていても集団として能力が上回り勝利することが可能です。このように潜在意識は、自分の夢や希望をかなえるために非常に有効なうえにチームとしてパワーを最大限にできる効果も得られます。