vol.33 ジェームズ・アレンと潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

イギリスの哲学者ジェームズ・アレンの著書『「原因」と「結果」の法則』は、今から100年以上前の1902年に出版され、今なお全世界で売れ続けており、聖書に次ぐベストセラーの自己啓発書です。

人生を好転させて成功するために必要な考え方が書かれています。デール・カーネギーを始めとする欧米の著名な自己啓発本の作家に多大な影響を与え、アレンの後に出版された自己啓発書のほとんどが、この書籍に影響を受けていると言われています。

アレンの著書『「原因」と「結果」の法則』の内容の紹介と潜在意識の関係について解説します。

 

■人生はすべて原因と結果に従い偶然はない

アレンは、「心は創造の達人。私たちは心の中で考えたとおりの人間になる」と心の中の思いが人格をつくるとともに、心に思いがなければ夢や願望は実現できないことを冒頭で述べています。

また、人生が思うように行かないとき、私たちは自分のことを棚にあげて、ついつい他人や周囲(環境)のせいにすることがあります。

しかし、アレンは「自分こそが自分の人生の創り手である」と述べ、すべては自分自身に原因があり、その原因が現在の結果を生んでいるとして「人生はすべて原因と結果に従い偶然はない」と言っています。これは、現在の状況を作っているのは自分自身であって他人や周囲(環境)は関係がないということです。

アレンがこの書籍に込めた目的は、人生に偶然はなく、「すべて内なる原因とその結果」「自分こそが自分の人生の創り手である」という真実に気づいて欲しいということです。

 

■今の自分を変えるためにやるべきこと

現在の状況、環境に満足できない、あるいは嫌だという人、もしくは今の自分とは違う自分になりたいという人は多いことでしょう。

今の自分や置かれている環境を変えるための方法として、アレンは「自分の環境を直接はコントロールできないかもしれない。しかし、自分の心の中の思いはコントロールできる。よって、間接的ではあるが確実に環境をコントロールできる」と言っています。

環境が変われば自分も変われるのではなく、自分の思いを変えれば環境も自分も変えられるのです。そして、それを継続すれば、自分が思い描く未来に変えられます。

このことは、多くの成功者が言う「強い思い・信念があったから成功できた」という言葉につながります。

 

■この書籍を読むことをおすすめしたい人

アレンは、この書籍で含蓄のある示唆に富む言葉をここで取り上げた以外にもたくさん述べています。

その言葉の持つ意味が真実と思えるので多くの人の琴線に触れています。また文学的な表現として琴線に触れるだけでなく実生活で必要な考えだと納得できるため100年以上の期間を経過しても古びることなく読まれ続けています。

置かれている状況や人によって心に響くアレンの言葉は違います。100ページにも満たない薄い書籍ですから、人生に行き詰まったと思うときに読むことをおすすめします。

特におすすめしたいのは、「今の自分がこうなっているのは、他人や環境が原因だと思っている」人です。

アレンは、このことを家の庭に植えた植物に例えて、「今、庭に花が咲いているのはあなたが植えたからである」と結果があるのは、原因を作ったあなたであると言っています。今咲いている花は、あなたが原因を作ったのであって、同じように今のあなたや環境はあなたが過去に原因を作っているのです。

ただし、書かれている内容は具体的なノウハウではなく精神論です。そのためノウハウとして知りたいという場合は、アレンに影響を受けたと思われる「7つの習慣」「ザ・シークレット」「代償の法則」などの書籍を読まないと少し不満が残るかもしれません。

しかし、含みのある言葉を何度でも繰り返しかみしめることで、希望ある未来を開くためのヒントが見えてきます。

 

■アレンが言う「心の思い」と「潜在意識」

アレンには、フロイト、ユング、アドラーなどが提唱した「無意識(潜在意識)」の概念についてはまったく触れていません。しかし、アレンは書籍の中で無意識(潜在意識)的な意識に関する次のような表現をしています。

・心は、それ自身がひそかに抱いているものを引き寄せ、それはそれ自身がほんとうに愛しているもの、あるいは恐れているものを引き寄せる。

・私たちは自分が望んでいるものではなく自分と同種のものを引き寄せる。

アレンの言う「心の思い」とは「無意識(潜在意識)」と考えるべきです。

なぜなら、アレンが書籍の冒頭で「心は創造の達人。私たちは心の中で考えたとおりの人間になる」と記述していることを紹介しましたが、思いつきで考えたとおりの人間に簡単になれるとは、アレンも決して考えていないからです。

そして、「人間を目標に向かわせるパワーは、自分はそれを達成できるという信念から生まれ、疑いや恐れは、その信念にとって最大の敵」と述べ、「自分自身を意欲的に改善しようとする人間は、明確に設定した目標の達成に、決して失敗することはない」と断言しています。

どのような人間になるか、どのような夢や願望を実現させるかは潜在意識に強く植え付けることが必要であることを違う言葉で表現しているのです。

 

人生を好転させる潜在意識の活用法

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