2021年のM-1グランプリで50歳と43歳の中年お笑いコンビ「錦鯉」が優勝しました。一般的に中年は45歳から64歳と言われており2人はそこに当てはまります。 さらに、「ボケ」担当の50歳の「長谷川雅紀」は、23歳で芸人になり苦労を重ねても芸人を続けたことで、M-1グランプリ17回の歴史のなかで最年長・最長芸歴での優勝となりました。このことで諦めずに頑張り続ければ花を咲かせられる「中年の星」として、売れないで苦労している多くの芸人に大きな励みを与えたのです。
また、それだけではなく、芸人以外の多くの人にも現状に腐ることもなく頑張ることが重要であり、中年だから諦めてはいけないという強いメッセージを発し、共感を与えました。その背景には、高齢化の進展があります。 一般的に中年の年代ともなると若い頃に持っていた夢や希望を失ったり、捨てたりする人が多くなります。その結果、自分をよりよい状態にしていこうとするポジティブな思考・行動力が湧いてこずに現状維持でもいいと、人生を過ごす人が多くなっているのではないでしょうか。 しかし、医療技術の進歩、健康志向の高まりで高齢化が進展。今や「人生100年時代」とも言われ、中年になってからも今まで生きてきた年数とほぼ同じ年数を生きなければならない時代になりつつあります。景気の低迷や老後資金として不十分な公的年金問題などもあって多くの人が、老後に対して大きな不安を抱えています。 年齢に関係なく才能や結果のみで評価され、それが収入に大きく響く仕事では、成果がなかなか出ないと、頑張っていくモチベーションを多くの人は失います。特に芸人などの仕事のように20代の若手でも年収が数千万円をこえるような業界で、中年になっても売れなくて生活にも困るような収入しか得られないと、夢や希望を捨てないでポジティブに生きていくことは非常に困難です。 「錦鯉」の「長谷川雅紀」も、M-1で優勝が決まったとき、「諦めないでやってきてよかった。僕はラストイヤーが56歳だった。その前に決められてよかったと号泣」。芸人を辞める覚悟もあったようです。 それもそのはずで、「長谷川雅紀」は23歳で芸人になりましたが、なかなか売れずに芸人の仕事で稼いだのは年間32万円程度で、牛丼チェーン店で週5日深夜勤務を続けるなど苦労しています。長く続く不景気にコロナ禍も加わって多くの芸人が辞めていくなか、諦めずにコツコツ努力を重ねて、「錦鯉」は栄冠を勝ち取りました。 なぜ、売れる保証がなくても芸人を続けてこられたのか。この問いに「『お笑いが好きだから』『いつか売れると思っていた』と言いたいところですけど、やめる勇気がなかったんですよね」と回答。また、同じく売れないで生活に苦労していた相方の「渡辺隆」は、付け加えて「売れていなくても、芸人をやっていると楽しくなるしね」と言っています。 つまり、嫌な気持ちで仕方なくやるのではなく、心から好きで楽しくやることが、芸の進歩や、成功するための努力を続けるためにはもっとも重要だと「錦鯉」の2人は教えています。 通常、古参が若手と同じ仕事を一緒にするときは、古参にはねたみやひがみなどが生まれ、若手には遠慮や哀れみが生まれて、うまく調和して仕事ができません。 しかし、「長谷川雅紀」は「どのライブ会場に行っても、僕らが一番年上で芸歴もあって、一回りも二回りも下の芸人にまざってやってきました。でも、うっとうしいなあとかではなく、ちゃんと受け入れてくれたんです。感謝しています」と述懐。また、売れた若手が「僕らをライブに呼んでくれて、同じように扱ってくれた。 いまの若手には頭が上がらないです。ありがたいことです」と相方の「渡辺隆」は述べています。
芸人の仕事を好きで一生懸命している2人は、若手から見ても希望の星であり、芸人として理想の姿に見えたのでしょう。若手にも受け入れられて、仕事も回してもらえたことが、普通であれば芸人への情熱の炎が消えてしまうのに消えなかった理由なのでしょう。 仕事で年齢が気になるとき、「長谷川雅紀」は大好きな言葉としてダウンタウンの松本人志の「魂は歳をとらない」をあげています。多くの人は、夢や希望を捨てるときの理由に年齢をあげますが、多くの場合、魂が年齢に負け、年齢を単なる理由にしてギブアップしているだけです。年齢を理由にしないためには良い言葉です。 仕事に限らず、好きな夢や希望を徹底的に好きになり、その気持は年齢に関係ないと思えれば、人生100年時代にも年齢に負けることもなく、逆境にあっても常にポジティブに生きていけることでしょう。 好きなことを一層強く好きになり、夢や希望をかなえるためにしなければならないことを好きになるには、潜在意識の底からそう思えるようにしなければなりません。そうでなければ、周囲の雑音に影響されます。 夢や希望は「今とは違う理想の自分になりたい。現在とは異なる理想の姿や状態になりたい」という気持ちです。このなりたいという気持ちは大切ですが、それだけでは、さまざまな事情に直面すると気持ちがブレてくる可能性が生じます。 そこで、アファメーションで「既に理想の自分になれている」と現在の自分がすでに理想の状態になっていると潜在意識に植え付けられれば、雑音に惑わされることがなくなります。人生100年という長い時間を有意義に過ごすために「錦鯉」は良いお手本です。