将棋の藤井四冠に対して多くの人がその強さ、天才ぶりに感嘆し、畏敬の念や憧れを持つとともに、その強さは一体どこからきているのか知りたいと考えているのではないでしょうか? その答えとして天賦の才能を持った天才だからと割り切ってしまっても間違いではありません。しかし、藤井四冠の強さは決してそれだけではありません。なぜなら、アメリカの心理学者ルイス・ターマンが天才と呼ばれるIQ(知能指数)が140以上の児童1,470人を追跡調査したところ、億万長者やノーベル賞の受賞者など社会的に大成功をおさめたり、学問で顕著な実績を残したりした人物はいなかったと報告しているからです。 この調査は約100年も前に行われた調査であることから、現代でも同じ結果になるのか、また選ばれた児童がたまたま優れた実績を残せなかっただけではないかという問題が残っています。
また、藤井四冠の才能が群を抜いている可能性もあります。しかし、頭脳が明晰な天才というだけで優れた実績を必ずしも残せないことは間違いないと思われます。 そこで、何が藤井四冠を天才同士が競い合う将棋の世界で弱冠19歳の若さでありながらトップの成績をおさめられるほどの才能を発揮させているのかについて考えてみたいと思います。そこから藤井四冠ほどの卓越した才能がない私たちでも現状の能力を高めて夢や希望を実現できるヒントが見えてきます。また、そこには潜在意識が強く働いていることも分かり、潜在意識の重要性を認識できます。 藤井四冠は5歳のときに祖母に将棋を教えてもらい、その魅力に取りつかれて将棋教室に通い始めます。その教室の運営者は、幼稚園児とは思えないほど将棋に対する熱意があり、そして人一倍負けず嫌いであったと述べています。 燃えるような熱意と負けず嫌いが、将棋に強くなるために必要な努力を努力と思わない気持ち、続ける根気、深く考える探究心と集中力を生み出しています。探究心の強さは、藤井四冠が常に対局で勝っても、常に謙虚に自らの課題に言及していることで分かります。普通であれば勝って良かったと満足するのが一般的ですが、藤井四冠は次の対局に向けて自分が指した手の改善点に目を向け、さらなる高みを目指しています。 おごりが出てしまうと進歩が止まりますが、将棋を極めたいという強い思いにあふれているため、自分の能力をさらに高めるための努力を続けています。
このことを物語る藤井四冠のエピソードにファンとのトークショウイベントでの質疑応答があります。まだ七段であった2019年12月にファンから「将棋の神様にお願いするなら何をお願いしますか?」と聞かれ、藤井四冠は「せっかく神様がいるのなら1局、お手合わせをお願いしたい」と回答。 人間を超越した神様ならどんな将棋を指すのか対局して知りたいという向上心、探究心がなければ、決して出てこない回答です。普通は、「すべての対局に勝たせてほしい」とか「誰にも負けないような実力がほしい」など、勝負師に求められる結果や能力をお願いすると思います。特に幼稚園児のころから人並み外れて負けず嫌いであったというエピソードから勝負にはこだわっていたと思われるため、そのような回答が出てきても不思議ではありません。 この回答は、藤井四冠の小さい頃からの将棋を極めたいという強い思いが潜在意識に刷り込まれているため、プロという立場で勝負師として対局で勝ちたいという思いよりも強かったから出てきたものと考えられます。勝負にこだわりながらも将棋を極めたいという強い思い・夢を持つ藤井四冠は、持って生まれたすばらしい才能を120%以上生かして、 まだまだ限りなく強くなっていくことでしょう。そして数々の最年少記録・破られることのないような前人未到の大記録をこれからも作っていくと思われます。
藤井四冠のように安直に結果のみを求めずに夢や希望を実現させるために必要なことを極めていけるようになるには、強い思い(夢や希望など)を潜在意識に刷り込みことが重要です。藤井四冠は、将棋があまりにも好きであることから、意識することもなく思いが潜在意識に届いているものと思われます。 また、藤井四冠は能力が高すぎることから、認知バイアスの1つ「ダニング・クルーガー効果(実際の評価と自己評価とのズレ)」に陥ることもなく高みを目指せています。藤井四冠のような能力がないからと諦めるのではなく、むしろ能力がないからこそ潜在意識を活用することで自らが描いた夢や希望に限りなく近づけます。