低年齢の子ども、および高齢者の一部を除いてスマホは現代の生活になくてはならない必需品として利用されています。調査会社のデータによると、スマホの利用時間は平均で1日約3時間から4時間です。スマホが利用できない、または制限される睡眠時間や仕事・学業などの時間帯を除くと多くの人が生活時間の大半でスマホを利用しています。 スマホがこれだけ多くの人に長時間利用されるのは、スマホが利便性・快適性・快楽性・自己承認欲求などを与えてくれるからです。しかし、それゆえスマホは「時間を忘れて没頭してやるべきことがおろそかになる、できない」あるいは「寝不足になって翌日の仕事や学業に支障をきたす」などの可能性が高くなります。 また、必要以上にスマホをチェックし、それができないとイライラしたり、不安になったりしてしまいます。さらに、ひどくなると「スマホが手元にないと落ち着かずに不安になる」「食事、風呂、トイレ中、人と話しているときもスマホをついチェックしてしまう」など「スマホ依存症」に陥ります。
「スマホ依存症」は、「認知能力・集中力・判断力・記憶力・意欲の低下」や「睡眠障害やうつ、視力低下など心身の不調」などを招き、日常生活に多大な悪影響を与えることから避けなければなりません。 スマホがいくら利便性・快適性・快楽性・自己承認欲求を満たしてくれても異常ではないかと認識できれば、ある程度柔軟に利用を制限するなどのコントロールできても良いはずです。 しかし、それができずに多くの人がスマホに強く依存することになってしまうのでしょうか? それに対する明確な回答を与えてくれるのが、スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンが著したベストセラー書籍『スマホ脳』です。アンデシュ・ハンセンは、書籍で「人類の長い歴史のなかで生き残るために進化した脳では現代社会に適応できていない」からと脳科学的な見地からさまざまなデータを用いて、スマホに依存せざるを得ない脳になるからだと述べています。 スマホの便利さ・快適さに溺れて長時間使っているうちに、いつのまにか多くの能力の低下を招くほか、睡眠障害、うつなどを発症する可能性が高くなります。これらのリスクについて、ITのカリスマでアップルの創業者スティーブ・ジョブズやマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツらは十分認識し、特に子どもへの悪影響を考慮し、14歳になるまでスマホを与えなかったり、利用時間を制限したりしたといいます。 スマホ脳でスマホ依存になると、スマホの利用時間が長くなります。その結果、脳は能力の90%を視覚情報の処理で使っていると言われているため、視覚を刺激し、酷使するツールの利用で脳に大きな負担をかけ、上記のようなさまざまな弊害を生みだしています。 弊害は、積み重なることで顕在的な意識だけでなく潜在的な意識にも影響を与えていきます。スマホ脳では得られる情報量が浅く、多く、広く、散漫なことから明確にしたい潜在意識のイメージが強まらず潜在意識を活用しようとしても阻害される可能性が高くなります。
また、一流のスポーツ選手は試合前などに好きな音楽を聴いたり、ストレッチをしたりするなどの一定のルーチン行動でリラックスして潜在意識下のイメージを強く引き出しています。しかし、スマホ脳は集中力を低下させ、またより多くの情報に接したいという願望が強くなって緊張を高め、リラックスできずに潜在意識の活用がうまくできなくなる可能性が高くなると考えられます。 そのためスマホのメリットを十分に享受したうえで、スマホ脳になる弊害を排除する必要があります。スマホ脳にならないために『スマホ脳』の著者は、「寝室にスマホを持ち込まない」「スマホを見えるところに置かない」「すぐにスマホで検索しないで1分間は考える」の3つであると述べています。 スマホの利便性だけに溺れて使いすぎると、知らないうちにスマホ脳になって潜在意識の活用もうまくできなくなるため、意識して3つのことを実践する必要があります。