vol.120 2020年の箱根駅伝で優勝した青山学院大学の原晋監督と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

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vol.120 2020年の箱根駅伝で優勝した青山学院大学の原晋監督と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

多くの人に興奮と感動を与える正月恒例の2020年の第96回箱根駅伝で青山学院大学(以下、青学)が2年ぶり5度目の総合優勝に輝きました。青学は前年こそ優勝を逃しましたが、それまで4連覇を達成するなど大学駅伝で屈指の強豪校となりました。

しかし、現在の原晋監督が就任する数年前まで優勝はもちろんできず、シード校にもなれないばかりか出場すら約25年も途絶えていたほどの弱い大学でした。当時、あまりの弱さのために陸上競技部を廃部にする話も持ち上がっていたようです。

 

そのような状況のなか、なんとか駅伝の強い大学にしたいという関係者に請われて、原監督は2004年34歳のときに監督を引き受けます。

当時、駅伝の弱小大学であることから高校の有望選手をスカウトすることも困難ななか、原監督はわずか5年後の2009年に33年ぶりに箱根駅伝に出場できるチームを作り上げます。

そして、6年後の2015年には初優勝を成し遂げ、選手が入れ替わるため連続して優勝することは極めて困難ですが、2018年まで4連覇できるチームに育て上げます。

 

監督としてここまでチーム力を上げる力量・才能は、並大抵のことでできるものではなく、またその手腕はビジネスにも通じることから原監督は、講演に呼ばれたり、書籍を出版したり、またその知名度からテレビ番組にもコメンテーターで出演するなど人気者になっています。

原監督がなぜ廃部も検討されていた陸上競技部を個々まで強くし、それを持続できている理由や、そこには潜在意識の活用も関係していることを紹介します。

 

■原監督の実行した常勝軍団を作り出すチーム作り

 

弱小であった青学の陸上競技部を最強にした原監督の方法は以下の2つの方法です。

 

1.自分で考える意識の植え付け

 

効率的に時間をかけずに強いチームを作るには、優秀な選手を集めて指示・命令を出してそのとおりに練習させると、もともと能力のある選手ですから自然に実力が伸びて強いチームができ上がっていきます。

しかし、当時の青学はなかなか優秀な高校生の選手を集めることが困難であったため、同じことをしていては他の駅伝に強い有名大学には勝てません。

そこで、原監督は、選手が自分で考えて行動する選手に育つように「相談できる選手」をテーマに掲げます。

 

「相談できる選手」とは、選手が悩みやトラブルを監督に相談するとき、監督はすぐに解決策を示すのではなく、「それで、どうしたいの?」と選手に質問を投げかけることで選手に考えさせ、選手が「自分はこうしたい」という「自分の答えを持って監督に相談できる」ようになることを意味しています。

自分で考えずに解決策を示されれば、解決策以上の成果はあげられません。また、指示された内容に選手が疑問を持てば、モチベーションが高まらずに指示通りのことを実行できない可能性があります。

 

しかし、「相談する選手=自分で考えられる選手」になれば、相談したいことだけでなく、通常の練習メニューを消化するときでも、自分の体調、目標記録とのギャップ、大会までの期間などを考慮して「今の自分にどんな練習が必要なのか」ということを考えられるようになり、練習メニューを選手個々に合うようにアレンジできて能力をより高められます。

また、自分自身が出した答えなので目標を達成しようというモチベーションもただ指示されるより強くなって中身の濃い練習ができ、さらに能力の向上が期待できます。

 

2.達成できる目標管理による成功体験の植え付け

 

原監督は、もう少し頑張れば手の届く半歩先の目標を見つけ、達成する成功体験をさせて、また次の目標を立てて成功することを繰り返すほうが、結果的に大きな成果を残せるとして、半歩先の具体的な目標を考える「目標管理ミーティング」を1カ月ごとに開きます。

この現実的で具体的な目標の設定は、自分がどんな練習をしなければならないかがはっきりすることから、この目標設定ミーティングも監督からの指示を待つのではなく自分で考える意識が身につくことにもつながっています。

 

■潜在意識を活用したキーワード作戦

 

原監督は、前述した2つのチーム強化方法に加えて、2013年大会から短いフレーズで潜在意識に訴えるキーワード作戦を実行しています。

キーワード作戦とは、以下のようにその年の箱根駅伝をどう戦うかという作戦を端的に短く示した名称のことです。

 

・マジンガーZ大作戦(2013年)

・S大作戦(2014年)

・ワクワク大作戦(2015年)

・ハッピー大作戦(2016年)

・サンキュー大作戦(2017年)

・ハーモニー大作戦(2018年)

・ゴーゴー大作戦(2019年)

・やっぱり大作戦(2020年)

 

例えば、2020年の「やっぱり大作戦」とは、2019年に優勝できなくて、優勝を絶対視されなくなったイメージを払拭したいという意味がこめられています。

そこで、「やっぱり青学は強い」「やっぱり青学は優勝できるんだ」というイメージを選手の潜在意識に植え付けます。脳は、現実も空想のイメージも区別できないので、イメージを強く持つと自分たちは強い、優勝できると信じて実力を100%以上発揮できます。

こうした原監督の教えが徹底されていく限り、これからも青学の強さは維持されていくことでしょう。

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