vol.118 2019年のM-1王者「ミルクボーイ」が優勝した理由と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】 

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vol.118 2019年のM-1王者「ミルクボーイ」が優勝した理由と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】 

2019年の年末に行われたM-1グランプリ大会で「ミルクボーイ」が、参加5,040組のなかから史上最高の得点で文句のない優勝を勝ち取りました。ちなみに参加5,040組というと、比較の対象としてあまり適切ではないかもしれませんが、全国高校野球選手権大会の2019年の参加高校は3,730校(過去最高は4,163校)のため、確率的には甲子園で優勝するのと同等以上の困難さと言えます。

この難関を勝ち抜いて優勝した「ミルクボーイ」は、ボケとツッコミの2人の会話が面白い「正統なかけあいのしゃべくり漫才」で、テレビではなくラジオで聞いていても面白い漫才でした。その意味では、決勝に残った残る2組の「かまいたち」も「ぺこぱ」も「ミルクボーイ」と同じボケとツッコミが特徴の漫才のため、ボケとツッコミの仕方、ネタの内容、話し方が三者三様の違いがあって、一般消費者の評価は大きく割れたと思われます。

しかし、審査員の評価は大きく割れずに7人中6人が「ミルクボーイ」を推し、文句のない優勝という結果でした。笑いに理屈はいらないのですが、「ミルクボーイ」が優勝した理由を潜在意識の面から考えて見たいと思います。

 

■潜在意識に働きかけたミルクボーイのネタと風貌の昭和感

 

2019年は平成が終わって新しい年号の令和が始まることから、まだまだ社会・経済に明るさが見えていないながらも、何となく未来への希望を期待したくなる高揚感がある年でした。

しかし、一方で平成もとうとう終わり、それに伴ってもはや昭和ははるか彼方に遠ざかってしまって、団塊の世代を始めとして昭和を駆け抜けてきた昭和生まれ人たちには言葉に出さなくても、それとなく寂しさが心に響く年であったのではないでしょうか。

審査員も昭和を生き抜いてきたベテランの芸人と少なくとも多感な少年時代を過ごした40代以上の芸人です。また、一般視聴者の多くも同じような経験をしてきた人たちです。

 

これに対して「ミルクボーイ」が披露したネタは何か古くさいけれど多くの人の潜在意識にあって、懐かしさを感じる「コーンフレーク」や「最中」でした。今、話題の「タピオカ」や平成の初めに大ヒットした「ティラミス」などではありません。

また、2人の外見も1人がダブルのスーツを着て頭髪は角刈りのため、決勝に残った他の2組に比べると少し懐かしい昭和の香り、雰囲気が出ています。「ミルクボーイ」は、ネタの面白さや間の取り方など秀逸でした。

しかし、それ以上にこれらの昭和のイメージが強かったことが令和元年の始まりとともに昭和の去りゆく寂しさが、視聴者や審査員の潜在意識に働いて高評価につながったのではないかと考えます。

時代の変わり目には、引き継ぐべき価値観と新しい価値観が交錯し、無意識的に古くてもどこか新しいものを、あるいは新しくてもどこか古いものを持ったものに目が行くのでしょう。

「ミルクボーイ」は、そういった時代にピッタリであったがために優勝したのではないでしょうか。

 

■上手に生かしたい潜在意識下の判断

 

「ミルクボーイ」の漫才が、審査員の「昭和」に対する潜在意識にどの程度作用したかは分かりませんが、一般的に私たちは何かを評価、判断、選択などをするときに無意識に自分の過去の経験などから直感に頼って論理的ではない意思決定をしています。

例えば、メガネを掛けている人はかけていない人に比べると頭が良い、太った人はやせて筋肉質の人より運動神経が劣っていると、決してそうではないことも多いのに良く調べないで間違った判断を下します。

このように評価、判断、選択など意思決定をするときに無意識に使う一定の法則や経験則などを「ヒューリスティック(=バイアス)」と言います。「ヒューリスティック」には、意思決定を大幅に早めるメリットがありますが、間違った法則や経験則(先入観、思い込み、偏見)に基づいて判断すると場合によっては重大な誤った意思決定をしてしまうことから注意が必要です。

 

心理学では、「ヒューリスティック」は主に以下の4つに分類されています。

 

1.代表性ヒューリスティック

代表性ヒューリスティックとは、例えば、サイコロを振ったときに1の目が3回連続で出る確率と、最初に1の目、次に3の目、最後に6の目が出る確率は、どちらかが高いかと問われたときに、1の目が3回も続くことは少ないという経験から、後者が高いと判断するような経験則のことです。なお、これはどちらも同じ確率です。また、辛いものには赤くないものもありますが、過去の経験から辛いものは赤いと判断することも同様です。

 

2.利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティックとは、例えば、都市に住んでいる人にコンビニ、歯科医院、美容院ではどれが一番多いかと問うと、コンビニを利用する回数が多いことから、その記憶に依存してコンビニが最も多いと判断してしまうことです。なお、コンビニが約5.8万に対して歯科医院は約6.9万、美容院は約24万もあります。

 

3.固着性ヒューリスティック

固着性ヒューリスティックとは、最初に得た情報が強く印象に残り、その後の判断や意思決定に影響を与えることです。アンカリングとも呼ばれます。例えば、ある商品が定価の半額(5万円)で販売されていると、同じような別の商品が30%引き(4万円)で販売されていても、購入価格が安いにもかかわらず最初の半額の商品に魅力を強く感じることです。冷静に判断すると値引率の低い後者のほうが実質的にお値打ちの商品である可能性が考えられます。

 

4.シミュレーションヒューリスティック

シミュレーションヒューリスティックとは、例えば、明日の会議のプレゼンテーションや試験のことを想像して、その結果、不安になりすぎて実際に起きる可能性よりも事態を悪化させる結果になることです。

 

ヒューリスティックは、経験の積み重ねや思考方法によって自然に身につきます。意思決定を即座にできる反面、大きな過ちをする可能性があります。

重要な意思決定に際しては、ヒューリスティックに依存しないで論理的な検証を加えること、あるいは実データなどを調べることなどを無意識にできるようにしておく必要があります。そのためには潜在意識の活用が求められます。

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