vol.104一代で世界一のモータメーカー日本電産を築いた永守重信氏と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

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vol.104一代で世界一のモータメーカー日本電産を築いた永守重信氏と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

日本電産は2019年の連結売上1兆5,000億円、純利益1,100億円、資本金877.8億円、グループ会社総従業員数10.9万人の大企業で、世界一の精密小型モータメーカーです。

年間約30億個以上のモータを生産し、主な製品の世界シェアは、光ディスク装置用モータが90%、モータとスピンドル(回転軸)が一体になったスピンドルモータが85%、ATM用カードリーダーが80%、携帯電話・スマートフォン用の振動モータが40%です。
この大企業を社員3名と1973年に京都府で創業し、わずか50年足らずで零細企業を世界一のモータメーカーにまで成長させたのが創業者で代表取締役会長の永守重信氏です。

永守氏が大成功を成し遂げられたのは、生まれ育った環境とそれが潜在意識として大きく働いたことが理由の1つであることについて紹介します。

 

■永守重信氏の生まれ育った環境

永守氏は、京都府向日市で農業を営んでいた両親の6人兄弟の末っ子として1944年に生まれます。今や永守氏は、「フォーブスジャパン」が発表した「日本長者番付 2019」によると資産額5,030億円で9位にランクイン(2018年は5,760億円で6位)するほどの資産家です。

しかし、永守氏の幼少期は経済的には恵まれおらず、中学2年生のときに父親が亡くなったこともあって貧しいなか母親が毎日一生懸命働いて子どもを育てました。中学を卒業しても高校に進学する余裕はなく進学を諦めなければならないよう状況でしたが、成績が優秀であったため中学の先生の説得でどうにか工業高校に通えたほどです。

そのような生活のなか、少年であった永守氏にとって、寝た顔を見たことがないというほど働き詰めだった母親の後ろ姿と、母親が言った「たとえきつくても夢があったら人の倍、働く努力をしなければならない、そうやって諦めないで頑張ったら必ず成功できる」という言葉が強く心に残ります。

高校に入学後は、学資の一部の稼ぐため塾を開き、余ったお金で株式投資も始めたといいます。大学は奨学金をもらえる職業訓練大学校(現在の職業能力開発総合大学校)の電気科に入学し、勉学に励み電気科を首席で卒業。大学卒業後は音響機器メーカーに就職しますが、1973年28歳のときに日本電産を創業、現在に至ります。

 

■永守重信氏の信念・信条と潜在意識が成功に導く

永守氏が会社の設立にあたって母親に相談したとき、母親は起業に反対しますが、「人の倍、働けるなら、会社を作ってもいい」と許してくれたそうです。
そのため、永守氏は「楽しみながら一生懸命働くことが大事だ」を信条に、自らの経営を「情熱・熱意・執念の経営」と称し、母親の教えでもある「人は能力ではない意識で変わる、やる気と努力があれば何でもできる」の強い思いのもと「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」をスローガンに一代で会社を大きく成長させます。この永守氏を周囲は「太陽より熱い男」と称しました。

多くの人が夢や希望を実現させようと思って頑張りますが、実現させられる人は決して多くありません。まして、永守氏のように零細企業のなかでも最も零細な企業が、わずか50年足らずで年商1.5兆円の規模にできることは奇跡に近いことで実現することはほとんどの人にとって不可能です。

永守氏もいくつもの大きな経営上の危機に直面しながらの成功でした。それでも成功できた要因は、第一に母親の教えである「たとえきつくても夢があったら人の倍、働く努力をしなければならない、そうやって諦めないで頑張ったら必ず成功できる」が、母親の後ろ姿の映像と言葉によって強く永守氏の潜在意識に刻まれたことです。

挫折したとき、そこから頑張れる人と頑張れない人の差が成功をするか、しないかを分けます。そして、頑張れる人には頑張ることを可能にする強い意識があります。どんな状況下でも頑張る意識になれるのは心の奥底にある潜在意識の働きです。顕在意識で諦めの気持ちになっても潜在意識は顕在意識に勝りますから諦めずに頑張る気持ちを持てます。

 

■ツァイガルニク効果とプロヴォカティブ・シンキング効果

あまり聞き慣れない用語ですが心理学に「ツァイガルニク効果」があります。「ツァイガルニク効果」とは、「人間は、まだ終了していない仕事・目標などがあると、そこに強い意識がいってしまい、終了すると意識しなくなる」という心理になることです。
例えば、やるべきことをやり終えていないと、そればかり気になってしまって、ほかにやるべきことを考えられない・実行できなくなることを意味します。永守氏の「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」は、夢や希望を達成する上で心理学的にも理にかなっています。

ただし、実現な困難な場合は、「必ずやる、できるまでやる」では、他にやるべきことがないときは問題ありませんが、他にもやるべきことがある場合は、達成すべきことを分解して途中の目標を設ける必要があります。凡人は、「明日やろう」「明日でも問題ないだろう」と後回しにして夢や希望をなかなか実現できません。
こういう場合、潜在意識に夢や希望がしっかり刻み込まれてないのでもっと潜在意識を強く活用することが必要です。

「プロヴォカティブ・シンキング」とは、大きな課題に直面したとき「必ず解決できるはず。そのためには何をする必要があるか」とポジティブに考える思考方法のことです。一般的に多くの人は、簡単に解決ができない課題に直面すると、まず「これは無理・駄目だ。なぜならその理由は◯◯であるから」と、できない理由を考えます。

そう考えるのは、第三者や自分自身に対してできないことを正当化して自己保身を図ろうとするからです。このような考え方に終止すると、そこで課題を解決するために必要な思考がストップします。

そこで、必要とされるのが、楽観的に考えて、解決策を積極的に探そうとする「プロヴォカティブ・シンキング」です。多くは、上司など決定権のある者から強制的に指示されて課題解決に挑むのが一般的ですが、自ら課題解決に取り組むのと、やらされるのでは成果に大きな差がでます。

永守氏の「楽しみながら一生懸命働くことが大事だ」という考えは、「プロヴォカティブ・シンキング」そのものであり、行き詰まりの状態を打開しなければならないブレイクスルーが必要なときに、この考えで対処できると速く何でも解決できます。日本電産の奇跡の成長は、永守氏の潜在意識と「ツァイガルニク効果とプロヴォカティブ・シンキング効果」が生み出したといえるでしょう。

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