vol.103ラグビーで日本が南アフリカに勝利できたのは集合的無意識の結果【人生が好転する潜在意識の活用法】

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vol.103ラグビーで日本が南アフリカに勝利できたのは集合的無意識の結果【人生が好転する潜在意識の活用法】

前回のニュージーランドのラグビーチーム「オールブラックス」、およびその前々回の南アフリカ戦の歴史的な勝利と、ラグビーワールドカップの話題から潜在意識の活用が大きな効果を生むことについて紹介しました。

今回は、南アフリカ戦に歴史的な勝利をしたことが「W杯史上最も衝撃的な結果」「スポーツ史上最大の番狂わせ」などと奇跡の勝利であったかのように世界が驚いたことをさらにもっと深く掘り下げて考えてみたいと思います。
この勝利は、決して奇跡でもなく偶然の勝利でもなかったこと、そこには個人の潜在意識をこえてチーム全員の気持ちが共有化された集合的無意識があったことについて紹介します。

 

■ラグビーは番狂わせが最も起こりにくいスポーツ

日本の勝利が奇跡、あるいは偶然のごとく世界が驚いた理由は、ラグビーは弱いチームが強いチームに勝つ番狂わせが最も起こりにくいスポーツであるからです。例えば、野球は1人のずば抜けた能力の選手がエースで4番にいると、チーム全体の総合力で劣っても強いチームに勝てる可能性の高いスポーツです。また、サッカーはコントロールがしにくい足でボールを扱うことから点が入りにくいスポーツです。
そのため1点を運良く強い相手チームから取ると守りを固めることで弱いチームが強いチームにも比較的多く勝利できます。

しかし、ラグビーは野球ほどポジション別の役割が独立していません。そのため1人のスーパープレイヤーがいても簡単に勝てるスポーツではありません。また、ラグビーは、サッカーほどボールは扱いにくくなく、しかもゴールポストという狭いスペースに蹴り込まなければ点がとれないスポーツではありません。ラグビーはボールこそ不規則なバウンドをしますが、ボールは手で自由に扱えて広いスペースにトライするだけで点がいくらでも入ります。

そのため先制点を運良く取れても守りを固めれば勝てるスポーツではありません。加えて、格闘技のように体と体がぶつかり合うスポーツでは、技術が同程度であれば圧倒的に体格の大きなチームが有利なスポーツです。体格差があっても一瞬で勝負が決まるスポーツ、例えば相撲であれば、まだ体格や技術で劣る弱い者が勝つチャンスが多くあります。しかし、ラグビーは前半・後半合わせて80分の試合時間の合計得点で争われます。

 

■日本が南アフリカに勝てた理由とは

このようにラグビーは実力差が勝負に端的に表れて番狂わせの少ないスポーツです。さらに、親善試合でなく国の名誉をかけて戦うワールドカップという真剣勝負の場でした。このような条件、明らかな実力差があったにもかかわらず日本チームが勝てた理由は何だったのでしょうか。

その理由は、個々の選手の能力の高さ、体格差を埋めるための厳しい練習、そして日本チームの特長を生かした戦略・戦術を徹底して磨いたことに加えて、チーム全員が集合的無意識でつながっていたことです。このすべてが備わっていたことから奇跡でもなく、偶然でもなく試合終了目前のトライによって劇的な2点差(34対32)の勝利につながったのです。

 

■集合的無意識が選択したプレーがなければ日本の勝利はなかった!

日本は、後半の29分まで同点の29対29と健闘していましたが、残り試合時間10分前に南アフリカにペナルティゴールを決められ29対32とリードされます。必死の攻撃を加えますが、なかなか得点できず、とうとう試合時間の40分が終了し、ロスタイムを残すのみになると思われました。しかし、試合時間の終了直前に相手チームの反則によるペナルティゴールのチャンスを得ます。

ここで日本チームは重要な選択を迫られます。それは、ペナルティゴールか、スクラムの選択かです。ペナルティゴールでは3点しか入らず同点にしかできないので良くても引き分けです。引き分けでも賞賛に値し、歴史に残る試合として語り継がれるレベルの快挙です。選択肢として選んでもおかしくありません。事実、日本チームをここまで育てあげたエディー・ジョーンズヘッドコーチの指示はペナルティゴールの選択でした。

しかし、チームはペナルティゴールを選択しません。言葉を交わすこともなくチームの全員がスクラムを選択します。このことは、五郎丸選手が試合後にそうであったと語っています。
スクラムを選択すると逆転勝利できる5点を取れますが、0点に終わるリスクもあります。一方、ペナルティゴールは、ほぼ3点が取れ確実に引き分けに持ち込めます。歴史に「たら・れば」はありませんが、誰か1人の意思によってスクラムを選択していれば、流れるようなチームプレーができずに逆転できなかった可能性があります。

このとき、チームの全員には勝利を願う個々の選手の潜在意識よりもさらに深いところにある集合的無意識によって、勝つために必要なプレーの選択までを共有していたのです。
勝つという個人の潜在意識だけであれば、目的は同じでも微妙に選手一人ひとりの手段(プレー)に対する考え方が異なって統率のとれたプレーができていなかった可能性があります。チームプレーでは集団的無意識によるプレーの共有化に成功すれば、チーム力を大幅にアップできます。

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