vol.93陸上100メートル9.97秒を記録したサニブラウン選手と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

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vol.93陸上100メートル9.97秒を記録したサニブラウン選手と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】

サニブラウン・ハキーム選手が、今まで桐生選手が持っていた陸上100メートルの日本記録9.98秒を2019年6月に行われた全米大学選手権の100メートル決勝で、0.01秒更新する9,97秒を記録しました。

サニブラウン選手は、100、200メートルオリンピック3大会回連続金メダルで世界記録保持者のウサインボルト選手が同年代に記録したタイムを上回っている期待の逸材です。
年齢も2019年の今年、20歳と若く走りもまだ完成しておらず、伸びしろがあることから、これからまだまだ記録が伸びる可能性を秘めています。早ければ、2020年の東京オリンピックでのメダルの獲得が期待できます。

しかし、ここに来るまでは、決してすべてが順調であったわけではありません。サニブラウン選手は、16歳のときに出場した2015年の世界ユース選手権で、100、200メートルの両種目に優勝。このときボルト選手が同年代のときに記録したタイムを上回って大きな期待がかかりましたが、ケガの影響で2016年のオリンピックは出場を断念するなど、いったん表舞台から消え去ります。
このとき、復活を目指して技術的な指導を仰ぐために海外へ出かけています。そこで、練習のパートナーのオリンピック、世界陸上の金メダリストで短距離・跳躍の選手に精神的な甘さを指摘されています。その指摘が潜在意識に大きく関係していることについて紹介します。

 

■燃え尽き症候群のようになっていたサニブラウン選手?

サニブラウン選手は、2016年をケガで棒に振ったこともあったのか、2017年1月に自らの走りを基本から見直すため、陸上競技で世界的に有名なコーチであるアメリカ人のレナ・レイダーに指導を仰ぐために海外に出かけます。コーチは、サニブラウンの走りの欠点を見抜き、欠点を強制するトレーニングを指導します。
このトレーニングをこなすことで、サニブラウン選手の体は欠点を克服できる体に変化し、走りが進化します。そして、アスリートとして最も重要な目標に向かう考え方、戦い方をここで学びます。

それは、このときの練習パートナーになってくれたオリンピック・世界陸上の金メダリストであるティアナ・バートレッタ元選手との会話です。サニブラウン選手は、海外にまでよいコーチを求めて指導を受けに行くくらいですからモチベーションが、決して低くはありません。
むしろ極めて高いと考えられます。しかし、金メダリストから見たサニブラウン選手の練習には必死さが足りないと映ったようです。このとき、サニブラウンは「世界選手権に何のために行くの?」と聞かれて、「今回は経験を積むため」と答えたようです。

これに対して、「経験なんかのためにロンドン(世界陸上)に行くの? 私は19歳のときに世界陸上に初出場して優勝したんだよ。あなたは、来年19歳だよね? 経験なんて言っている時間あるの?」と厳しく責めます。
その裏には、バートレッタ元選手に、2005年のヘルシンキ世界陸上で金メダルを取った後、その次の目標が見いだせず、燃え尽き症候群になった経験を持っていたからです。世界でトップに立つには、才能はあっても、明確な目標がなければ不可能で、自分が失敗したから、才能ある若い選手に失敗してほしくない思いから、サニブラウン選手の甘い考えに対して厳しく答えたのでした。

一流のなかの一流になるには、練習であっても手を抜くべきではないというのが、バートレッタ元選手の考えであり、そのためにしっかりとした目標を持つことが大切だと言うことです。

サニブラウン選手には、走りを向上させたいという漠然とした意欲はあっても、はっきりとした目標は持てていなかった、あるいは目標を達成するための自分の能力に対する評価が低かったために、練習に必死さが不足し、世界陸上への参加も経験が積めれば十分というレベルの低い回答になったと考えられます。
バートレッタ元選手から見たサニブラウン選手は、やる気を失った燃え尽き症候群になっていると見えたようです。実際は、燃え尽き症候群ではなく、ケガで2016年を棒に振っていたため、世界陸上で活躍できるという自信が持てていなかったのではないかと推測されます。

 

■夢や希望をかなえるために必要なセルフエフィカシーと潜在意識

サニブラウン選手にとってオリンピックや世界陸上の100、200メートルで金メダルを取ること、あるいはサニブラウン選手に限らず、すべての人がそれぞれの夢や希望を実現させるには、心理学の用語で言う「セルフエフィカシー(自己効力感)」が必要です。「セルフエフィカシー(自己効力感)」とは、「自分には目標を達成するための能力がある」と確信できる感覚(揺るぎない自信・確信)のことです。

「セルフエフィカシー(自己効力感)」の概念を提唱したアルバート・バンデューラは、この感覚を持つ、強めるには、以下の4つの方法があると述べています。

・自分の行動で達成した体験を持つこと
・他人が達成しているのを見て、自分もできそうだと強く思うこと
・達成できると言語で繰り返して自分を説得し成功するイメージを強く持つこと
・小さな成功体験を繰り返して、積み重ねて行くこと

さまざまな選択を迫られたとき、誰もが「セルフエフィカシー(自己効力感)」で検討し決断していると考えられています。そのため、何かを成し遂げようとするときにこの感覚は大きな影響を与えます。この感覚の低い人は、何もしないという選択をする可能性が高く、夢や希望をかなえるチャンスを逃し、あるいはチャンスをつかむための努力もできない可能性があります。
潜在意識が、夢や希望や成功を引き寄せるというのは、「セルフエフィカシー(自己効力感)」を高めるからにほかなりません。

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