vol.65 フィギュアスケートのニューヒロイン紀平梨花選手と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】
2019/02/04
■フィギュアスケートのニューヒロイン紀平梨花選手と潜在意識
12月にカナダバンクーバーで行われた2018年のフィギュアスケートグランプリファイナル大会で弱冠16歳の紀平梨花選手が、半年前2月の平昌オリンピック金メダリストで同じ16歳のロシアのアリーナ・ザギトワ選手を抑えて見事優勝。新たな10代のニューヒロインがまた1人誕生しました。
この快挙もすごいですが、シニアのデビュー戦でグランプリシリーズに優勝しており、これは浅田真央選手ですらなしえなかった日本人としては初のことです。紀平選手を支えた家族のエピソードや大きな大会で実力をいかんなく発揮できる運動能力と精神力と潜在意識の関係について紹介します。
■紀平選手のプロフィールと記録
紀平選手は、兵庫県西宮市出身で2002年7月21日生まれの16歳。3歳のとき母親に連れられて姉と一緒にアイススケートリンクに行って初めてスケートに出合い、5歳でスケート教室に入り、練習を始めます。当時は、趣味の1つとしてスケートを楽しみ、この他にバレエ、体操、ピアノなども習っています。
スケートに関する運動能力の高さは、女子シングル史上初の「フリースケーティングでのトリプルジャンプ成功」「1プログラムで全6種類トリプルジャンプ成功」「3回転アクセル-3回転トゥループ成功」、および女子シングル史上最年少での「3回転アクセル成功」などの記録を持っていることで分かります。その他にも、日本人初のグランプリシリーズ初出場で優勝、女子シングルショートプログラム世界最高得点の記録も持っています。
スポーツの世界ではありませんが、同じ10代の将棋の藤井聡太棋士も数々の史上初、史上最年少の記録を作っています。紀平選手もこれから史上初、史上最年少の記録を作っていく可能性があります。
その最初の記録は4回転となりそうです。すでにロシアの13才の選手が世界ジュニア選手権で4回転サルコウを成功させていますが、紀平選手も4回転トウループと4回転サルコウの練習を始め、すでに練習では何度も成功させているそうです。2022年の北京五輪からは女子も「4回転時代」に突入すると予測されています。
■スケートに対する思いと家族の支え
どんなに幼い頃から優れた能力があるスポーツ選手でも全日制の高校に通う選手が多いなか、紀平選手はスケートにより専念できることから通信制の高校を選ぶほど強い思いをスケートに対して持っています。
また、両親も進学した中学が自宅から遠かったために通学の往復の時間がスケートの練習時間を圧迫。そこで、通学時間を短縮するために、学校とスケートリンクの両方に通いやすいところに自宅を売却して引っ越しをして、そのうえで家族が送迎を続けて一家でスケートできる環境を作って支えてきています。紀平選手の運動能力に加えて本人のスケートに対する思いと、家族の支えが加わってことで実を結んだグランプリファイナル優勝でした。
■紀平選手を優勝に導いた潜在意識
優勝したグランプリファイナル大会で紀平選手は、その前にNHK杯で失敗して課題としていたショートプログラムのトリプルアクセルを見事に成功させ、ザギトワ選手の今季世界最高得点を大幅に更新する82.51点を記録しトップに立つ順調な滑り出しでした。
しかし、翌日のフリーでは冒頭に跳ぶトリプルアクセルで両手をつく失敗をします。このままでは駄目と感じたのか、紀平選手はその後の演技構成を瞬時に切り替えて失敗による減点を取り戻そうとします。
そこで、その後に跳ぶジャンプを「トリプルアクセル」から「トリプルアクセル+ダブルトゥループ」に変更、またさらに別のジャンプを「トリプルルッツ+ダブルトゥループ」から「トリプルルッツ+トリプルトゥループ」とより難しい構成の演技に変更し成功させています。
その結果、150.61点とザギトワ選手を上回る得点を出し、合計233.12点という今季グランプリ大会の女子最高得点を出して優勝します。
素人の考えでは、跳ぶジャンプの種類を変えることは簡単に思えますが、選手はよい点を出すために決めた構成での練習を繰り返すために簡単に切り替えられないといいます。また跳ぶタイミングが微妙に変わるため、簡単には別の種類のジャンプに切り変えたり、組み合わせを変えたりするのは困難です。
技術的に切り替えられたにしても、3回転ジャンプは、同じ種類のジャンプを単独で2つやると、2つの目のジャンプは70%しかもらえないというルールがあったりするので、それらを瞬時に考えて構成を決めなければ点数を伸ばせません。
ジャンプが簡単に跳べれば、恐らく選手にも余裕があるので多少は切り替えが簡単にできるのかもしれません。しかし、選手は自分が跳べる能力を限界まで出しているので短時間のなかで切り替えるのは極めて困難ですが、紀平選手はより難度の高い構成に切り替えて成功させました。
その成功の裏には無意識でも自然に自分の力を出せる潜在意識を紀平選手が活用したと考えられます。紀平選手は、まだ中学生の頃に「フィギュアスケートは、寝ることと同じくらいの存在です。食べるときも、眠りにつくときも常にフィギュアスケートを中心に動いています」とインタビューに答えています。
これほどの強い意識があるから、どんな場合にも対応できる演技構成が潜在意識に刻み込まれ、瞬時に対応できたのでしょう。多くの一流選手が、潜在意識を活用していますが、紀平選手も普段の練習で潜在意識を活用していると考えられます。
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