vol.52 日本人で史上初のテニス4大大会を制覇した大坂なおみ選手と潜在意識【人生を好転させる潜在意識の活用法】
2018/09/18
2018/09/25
女子プロテニスの大坂なおみ選手が、男女を通じて日本人にとって史上初のテニス4大大会初優勝という快挙を、元世界ランク1位で4大大会の優勝回数が歴代2位の23度を誇る実力者セリーナ・ウィリアムズ選手を相手に圧倒して成し遂げました。
まだ20歳という若さ、そしてすばらしいテニスの才能があることから今後15年以上にわたってトップランクの位置を長く保ち、日本人を勇気付けてくれるに違いありません。
また、「USオープン」の優勝スピーチや、テレビのインタビューなどからかいま見える好感を持たれる性格の良さもあって、今後強くて親しまれる人気選手にさらに育っていくことでしょう。
大坂選手は、キャリアも少ないなかテニス選手全員が憧れる4大大会の1つ「USオープン」の決勝という晴れの大舞台であって修羅場に初進出したことは、大変な緊張を強いられたことと思われます。
しかも会場全体が地元アメリカのセリーナ選手を応援するという逆境のなか、さらにセリーナ選手が感情をあらわに主審に抗議して3度の警告を受けて会場全体が騒然とするなかでの試合でもありました。
しかし、20歳とは思えない冷静なプレーで持っている能力を100%以上発揮できた大坂選手のメンタルの強さは特筆されます。もともとネガティブな思考の持ち主で、感情もうまく抑えられなかったといわれる大坂選手が、自己をうまくコントロールし、落ち着いてプレーに集中できたメンタルの強さはどこから生まれてきたのか潜在意識の面から考えてみたいと思います。
■大坂選手を精神面で成長させたサーシャ・バインコーチの存在
今、日本のスポーツ界はさまざまなスポーツ分野で選手のことを第一に考えた指導ではないパワハラやモラハラ、さらには選手を利用して金銭や自分自身の組織内での地位などの利権に利用していることも行われているようで大きな社会問題になっています。
一方、大坂選手をここまで飛躍させた陰に現在の日本のスポーツにはびこっている根性優先、上から目線の指導とは一線を画した指導法を実践する敏腕コーチのバイン氏の存在があります。
バイン氏は、大坂選手と話すときに目線を同じ高さにするなど選手目線を重視して会話しています。さらに、大坂選手は練習が好きなほうではなく、また「USオープン」で優勝が決まった瞬間、派手なガッツポーズをするでもなく静かにバイザーのつばを下げて涙を隠したことからも分かるようにシャイで引っ込み思案な性格です。
そのため1つ良くないことがあるとネガティブになり、それを引きずって過去にはプレーが崩れることがありました。
こうした欠点のある大坂選手に対し、バイン氏は技術的な指導を含めて選手が楽しめる練習メニューをつくることが大切とし、指導にあたっては、「すべては心から始まり、体はそれについてくる」「完璧でなくていい、乱れない心が重要」と言っています。これは、日本に昔からからある「○○道」に通じる考えに近いのではないでしょうか。
つまり、技術だけでなく「道」を極めるには「精神:心」も高めることが必要なことに近い考え方です。その教えを忠実に学び、身に付けた証拠が、大坂選手が勝利のために重要なことは何ですか?という問に「ガマン」と「心の持ち方」を答えていることで分かります。
日常生活における「ガマン」のし過ぎは、ストレスなどの悪影響を心身に与えます。しかし、スポーツにおける「ガマン」には、相手のペースにならないように自分のペースを守る、あるいは冷静な判断ができるようになる意味があり、スポーツ選手には欠かせない能力の1つです。大坂選手と戦ったセリーナ選手は、「ガマン」ができず平常心を失い自ら崩れていきました。
そのことは、そういう心理状態に追い込めた大坂選手のすごさを示しています。大坂選手のコーチが、技術だけを教え込むことに熱心であれば、大坂選手が4大大会を制覇できるまでにはもう少し時間がかかったかもしれません。
■「ガマン」をできるようにさせた潜在意識
子育てで子どもに「ガマン」を覚えさせることは、子どもが大人よりも本能に近い行動しかできないので多くの親が苦労します。大人になれば、理性で感情を押し殺すことができるようになるので多少マシになります。
しかし、理性では、緊張しているとき、とっさのとき、慌てているときなどの冷静でないときにはなかなか「ガマン」は簡単にできません。常に冷静でいられるためにする「ガマン」は、理性の顕在意識では困難です。
バイン氏が潜在意識を考えたコーチングをしているのかどうかは報道がないので不明ですが、「心」を重視した考えをしていることから、「心」に深く意識させること、イコール潜在意識に強く働きかけることをしていることが考えられます。
報道などによると、とにかく明るく、楽しく大坂選手が練習できるように罰ゲームを考えたりして練習が行われているということです。
楽しいことをすることは、脳が活性化して、そのときにバイン氏から「ガマン」の必要性・重要性が何度も話されると、潜在意識に強くイメージされます。大坂選手も無意識的に自らその重要性を潜在意識に持たせと思われます。
「嫌だ、嫌だ」と思いながらの練習で「ガマン」の必要性・重要性をいくら言われても潜在意識には届きません。大舞台の緊張がマックスになるような場面で、自分のミスに対してセリーナ選手と同様にラケットをたたきつけて壊すようなそぶりを一瞬しますが、思いとどまっています。
バイン氏による「ガマン」の大切さがイメージとして潜在意識にあったから感情を押えた「ガマン」ができたのではと思われます。その結果が、「USオープン」の勝利につながった要因の1つにあげられます。
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